千金楽 健司
“Death by Amazon”という言葉のインパクト
Amazonがすべての業界を網羅するという時代が着実に近づいてきています。オンラインショッピング業界において最強の存在となるだけではなく、Amazon Goでコンビニ業界を、Amazon Freshやホールフーズの買収でスーパーマーケット業界を、というようにオフラインにおける小売業も自分たちの手中におさめようしているのは間違いありません。Amazon Basicに代表されるPB商品の積極的な企画・販売が進めば、あらゆる製造業(ファッション業界も例外ではありません!)においても、Amazonが業界のTOPとなる可能性があるのです。
▼ Amazonが支配しようとしているのはオンライン通販ではなく商取引全体のインフラである
▼ 世界を震撼させるアマゾンのPB戦略、その影響はアパレル以外にも及ぶ
“Death by Amazon(デス・バイ・アマゾン)”という言葉を知っていますか?
“Death by Amazon(デス・バイ・アマゾン)”=アマゾン恐怖銘柄指数。JCペニー、ウォルマート、コストコ・ホールセール、バーンズ・アンド・ノーブルなどアメリカの主要小売関連企業54社で構成されている株価指数のことで、文字通り「アマゾンによる死→アマゾンの収益や新規参入サービスによって業績の悪化が見込まれる」という恐ろしいリストです。実際、ホールフーズ買収のときにはこの指数が急落しました。国内で同じような指数を作ったら…想像しただけで恐ろしいですね。該当する企業が多すぎます。そんな“Death by Amazon”を乗り越えるために何が必要かをまとめたレポートを紹介します。
▼「デス・バイ・アマゾン」を乗り越える処方箋 IoT時代、<リアル店舗の役割>が変わる | IoT Today
レポートの中で著者は、「店舗=販売の場」という固定観念から自由になることが重要だと繰り返し主張しています。商品を売る・買うだけではない、特別な(そこでしかできない)体験ができる場所として「店舗」を再定義し直し、自分たちにしかできない体験を「店舗」で提供していくこと。それこそがAmazonに対抗できる唯一の方法であり、リアル店舗を持つ企業・ブランドにとって唯一の武器だという主張はその通りだと思います。武器である「店舗」を再定義するとともに、顧客のリクエストにこたえるためのデジタルインフラ(ECサイトだったり、アプリだったり)をきちんと整えることができれば、どんな中小企業であっても“Death by Amazon”を回避することができる。私はそう考えています。
今後もAmazonが“強い”時代は続くでしょう。もしかしたら、Amazonが社会インフラのひとつになっている時代がやってくるかもしれません。そんな時代が続いても、あるいは、そんな時代がやってきたとしても、自分たちが生き残るために…“Death by Amazon”を乗り越えるために、どうしたらいいのか。それを本気で考えなければいけないときなのだと思います。