千金楽 健司

2021 07 Dec

The State of Fashion 2022

毎年恒例、ビジネス・オブ・ファッションとマッキンゼーによる2022年の「The State of Fashion 2022」が発表されました。


The State of Fashion 2022

世界のファッション市場を牽引しているのは、やはり中国とアメリカ。特にラグジュアリー領域では中国のパワーがダントツだと報告されています。北京冬季五輪も控えていますし、まだ中国のパワーは強大ですね。

レポートには「2022年のファッション市場」における10のキーワードが紹介されています。

1.Uneven Recovery
コロナ禍からの回復に格差が生じているということ。これは消費市場だけではなく(原材料の)調達にも影響してくるため、リスク軽減のための状況確認が重要になる。

2.Logistics gridloc
複雑になりすぎてしまったサプライチェーンの弱さが露呈。サプライチェーンを最先端の技術でどう進化させていくか、また、顧客のニーズに応じて製品を供給し続けていけるような柔軟性が求められる。

3.Domestic luxuries
(消費者が多くのお金を費やす)海外旅行は当面の間「できない」。ラグジュアリーブランドは海外よりも国内でどう稼ぐかのバランスを再考した方がよい(国内EC、免税など)。

4.Wardobe rebooot
ここ数年続いていたアスレジャー傾向に飽きがくる。新しい商品、ライフスタイルの提案が求められるので、ブランドはデータを分析し、消費者の共感を得られるようなものを提供しなければならない。

5.Metaverse mindset
オンライン社会・経済(メタバース)への対応を本気で。メタバース内でどんなコンテンツで、どうやってファンを作り商売するか。各社が知恵を絞らなければならない。

6.Social shopping
ブランドと消費者のエンゲージ強化において非常に重要。ライブコマース、ARによる試着など、ソーシャル×テクノロジーはより進化し、本格的に普及していく。

7.Circular textiles
再生素材、素材再利用は当たり前。環境への影響を減らすためには繊維廃棄物の削減が重要。企業は製品開発の段階から、それを組み込まなければならない。

8.Product passports
SDGsの観点から、これまで以上に製造過程における透明性が求められる。製品情報を保存し、消費者と共有する。ファッション業界での共通基準を設け、取り組むことが必要(偽造防止にも役立つ)。

9.Cyber resilence
顧客データの流出をはじめとするサイバー攻撃の脅威のため、もっとセキュリティの基準を上げるべき。またより多くの投資も緊急に必要。

10.Talent crunch
インフルエンサービジネスはより複雑に。質のいいインフルエンサーを育成するために、社内の経営資源、戦略を再構築する必要がある。旧来のままではなく、デジタルに対応した人材戦略への刷新も必要。

個人的に気になっているのは、5の「Metaverse mindset」。過熱するNFT(バブル?)もそうですが、ここにきて一気に旧来の価値観が大きく揺らぐ、ひっくり返るような気がしています。今は歴史の大きな分岐点(転換点)なのではないでしょうか。