児玉 千恵子
日本の原風景を楽しみ歴史と慣わしにふれる染色月 ストアーズレポート連載第180回 商いの実学・遊学・雑学
久しぶりの倉敷川(倉敷市の美観地区を流れている)は、雨が上がった直後だった。
人影がまばらで、船頭さんたちがマスクをして岸辺に座っていた。
人力車の車夫は、吹き出す汗を拭いながら、ひたすら客待ちをしていた(黒いマスクを着けて)。
この時節(梅雨前線が北上中の頃)に、観光客がこんなにもいないとは?・・・コロナ禍の影響で、春先から訪日客が途絶えたことが、大きな痛手となっているようだ。
店頭に「マスクあります」と表示されているお店は、確か甘味喫茶か、フルーツジュースのカウンターが並んでいたはず・・・だった。
ソフトクリームにつられて、ブルーデニムのマスクを数枚ほど買ってしまった。
「これでも、お客さまが戻ってきたほうなんですッ」甘味喫茶の主人が声を放っていた。
川沿いの道ばかりか、どの店にもお客さまの姿が見えない。・・・(中略)・・・
ふと対岸を見ると、「星野仙一記念館」のご案内スタンドが目に飛びこんできた。
橋を渡って、惹かれるように向こう岸へと歩いた。・・・(中略)・・・
記念館は路地の奥にある。入口からそこへは「倉敷デニムストリート きゃら工房」というショップが、レディス・キッズ・メンズ館と続き、洗練されたデニムファッションや小物雑貨が、ウィンドウから人々のおしゃれ心に働きかけていた。・・・(中略)・・・
昨夏は、児島(倉敷市)にある「ジーンズストリート」に出かけて、「BIG JOHN」のジーンズを購入したのを思い出した。
店頭やPOPスタンドをよく見ると、ジーンズの聖地「倉敷・児島」から・・・と、世界が認めた「児島デニム」と書かれていた。・・・(中略)・・・
一方で、福山市(広島県)を中心とした備後界隈でも、備後絣の発祥地として伝統を語りつぎ、やがてデニムの生産を手がけるようになった優良企業が健闘している。
また、井原市(岡山県)のデニムにも歴史がある。・・・(中略)・・・
いずれにしても、江戸時代から「藍染の似合う番頭さんを選べ」…と語りつがれてきたほど、藍やインディゴブルーは、多くの人々に愛されてきている。
「ストアーズレポート」2020年8月号の児玉千恵子書き下ろし連載第180回「商いの実学・遊学・雑学」は、『日本の原風景を楽しみ歴史と慣わしにふれる染色月』
コロナ禍でも、子供たちに可能な限り、日本の夏と太陽、空気、自然界の川や森の緑に触れさせたい!
そして今夏、日本で起きていること、世界中で起きていることを、子供たちなりに感じて考え、幸せな未来へと向かって欲しい。
今まで経験したことのない今夏、地球と世界の人々の平和について向き合う時間が持てたら・・・大人も子供も、心がさらに逞しくなろう。
今号の主な内容は、
◇ 日本のデニムに自信と誇り
◇ ホテルのおもてなし
◇ アウト・ドアのすすめ
◇ ホロコースト記念館~アンネ・フランクの形見のバラ
【プロ販売員模試】 「配色とゼネラリスト力向上 テスト」
〔PHOTO:DOMINANT LIMITED〕
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