上野 君子

2021 21 Feb

さらなるデジタル時代に立ちすくむ

お世話になった書籍の編集者に、私は「伝統的、古典的に紙媒体の人だ(表現は少し違ったかもしれないが)」といわれたのだが、実はそれがうれしかった。
はい、私は完全なるアナログ人間。昔から新製品や新しいテクノロジーといってもあまり飛びつくことがなかった。

思い起こすと、紙から電子へと移る時は億劫だった。もっと前にさかのぼると、手書きからワープロへ、さらにパソコンへと移るのも遅かった。
今ではうそのようだが、新聞や雑誌が基本と思っていた私は、当初WEB媒体でものを書くことに猜疑的だった。それが今では、紙媒体の連載や仕事はすべて消えた。
そんな私も、都心を離れるに当たって、友人の勧めで始めたFacebookを10年以上続けている。

ただあれもこれもと新しいものに手をつけるのはやはり苦手で、SNSはFacebookだけ。インスタもツイッターも興味なし。というか、やりたくない。わずらわしい。そんな時間があったら散歩している方がいい(Facebookだけでもけっこう時間をとられている)。
ましてはYouTubeや最近話題のclubhouseなんてどんでもない(というより、clubhouseは誰からも招待されない)。つまり、映像(ビジュアル)や音(しゃべり)で発信するのは、そもそも苦手意識がある。
映画を例にとっても、ネットフリックスより、やはり映画館で観たい。

「clubhouseは興味ない」といったら、あるファッション業界プレス関連者に「遅れてる」と言われてしまった。はい、遅れててけっこうなのだが、この急激な時代の変化についていくことにどこか疲れを感じていることは確か。
とにかく新しいことに飛びつく、かじってみることは、好奇心や体力・経済力がないとできないことで、ある意味ではうらやましい。年齢を理由にはしたくないが、そういうエネルギーが欠乏してきている。

このコロナ禍によって、自分に不必要なものをいかにそぎ落としていくかが重要であると痛感した人は少なくないのではないだろうか。
こんな私も、私なりに新しいテクノロジーを少しずつ取り入れていくのだろうが、さて、これからどう生きていくかが大問題だ。