宮田 理江
性別を越えた自分らしいファッションとは? 映画『MISS ミス・フランスになりたい!』
ジェンダーレスのファッションモデル、アレクサンドル・ヴェテールが初主演した、心がときめくフランス映画『MISS ミス・フランスになりたい!』が2021年2月26日(金)から、シネスイッチ銀座ほかで全国公開される予定です。性別を越えたチャレンジに挑む主人公の行動力に胸が熱くなりました。
タイトルが端的に示している通り、主人公のアレックスがミス・フランスのコンテストで優勝を目指す物語です。でも、アレックスは男性。秘密を抱えながらの挑戦を重ね、とうとう最終決戦に臨んだアレックスが選んだ道は――。
◆パリジェンヌらしい気取らないフレンチキュート
感動的なストーリーに華やぎを添えるのは、アレックスがコンテストの各ステージでまとう、様々な衣装としぐさです。あでやかなロングドレスや水着、ビーチルックなどが参加者の魅力を多面的に引き出しています。
マリン調のボーダー柄カットソーに真っ赤なベレー帽とネッカチーフといった、リセ風のフレンチキュートな姿も披露。コンテスト以外の場面では、「パリジェンヌ」らしい気取らないデイリーウエアを見せてくれます。
◆ファッションを通して多様性と向き合う
強い意志で挑んだコンテストのはずでしたが、たび重なる試練で気持ちが折れそうになるアレックス。その一方で、まるでスターのように脚光を浴びたこともあって、自分を支えてくれた下宿の仲間と気持ちが離れる瞬間も。めげそうになるアレックスが周りの人たちに支えられてゴールを目指す、挑戦し続ける姿が感動的です。
コンテストのはらはらドキドキ感に深みを加えるのは、ダイバーシティー(多様性)へのまなざしです。アレックスに象徴されるジェンダー意識のほかにも、下宿仲間の面々は人種や立場、年齢などの設定が幅広く、見方や主張も様々。地域別に選考されたミス・フランス候補者の顔ぶれも多種多様です。
ノリのよいヒット曲を並べたサウンドトラックも心地よく、107分があっという間のようにテンポよく物語が進んでいきます。「ジャン=ポール・ゴルチエ」のランウェイにも登場したことのある、モデル経験が豊富なヴェテールならではの、堂々としたステージでの所作は強さとしなやかさを兼ね備えたイメージが打ち出されている、今のファッションシーンを象徴するかのようです。
イル・ド・フランス地区の決勝でアレックスがコンテストに応募した理由を語るシーンは、名演説です。ファッションの世界でも哲学やポリシーが重んじられる中、自分の言葉で主張することの大切さをあらためて感じ取れる点でも、ステートメントやフェミニズムを謳うファッションの流れに寄り添うかのようです。性別を問わず、多くの人に見てもらいたい映画です。
『MISS ミス・フランスになりたい!』
2/26(金)シネスイッチ銀座ほか全国公開
公式HP:https://missfrance.ayapro.ne.jp/
監督・原案・共同脚本:ルーベン・アウヴェス、
撮影監督:ルノー・シャッサン、プロデューサー:レティシア・ガリツィン、ユーゴ・ジェラン、音楽:ランバート
出演:アレクサンドル・ヴェテール、イザベル・ナンティ、パスカル・アルビロ、ステフィ・セルマ
2020/フランス/フランス語/スコープサイズ/107分
(C)2020 ZAZI FILMS – CHAPKA FILMS – FRANCE 2 CINEMA – MARVELOUS PRODUCTIONS
Written By Rie Miyata
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