宮田 理江
「ゴープコア(Gorp Core)」が新トレンドに浮上 強まるアウトドア感
「ゴープコア(Gorp Core)」が日本でも本格的に盛り上がりそうです。しばらく前に話題を集めた「ノームコア」はミニマル系の装いでしたが、今度のゴープコアはアウトド風味の濃いスタイリングです。
まずは言葉の意味から。Gorpは英語で、「Good Old Raisins and Peanuts」の頭文字から作った略語です。レーズンもピーナッツもおしゃれとは関係がなさそうですが、これはハイキングやトレッキングの際に持ち歩くサバイバルフード(携行食)のことです。フルーツやナッツなどを混ぜ合わせた食べ物で、持ち運びやすいうえ、栄養価が高く、アウトドア食の代名詞になっています。
このゴープという言葉が象徴している通り、ゴープコアはアウトドアのムードが濃い装いです。キーアイテムはマウンテンジャケット、シェルパーカ、アノラック、ウインドブレーカー、レインコートなどです。バッグはタフ顔のナイロンのリュックが主役で、ボディバッグやウエストポーチも取り入れられています。
アウトドアのテイストがモードの世界で本格的に盛り上がってきたのは、2017年春夏シーズンあたりからといわれます。18年に入っても勢いは続き、発表されたばかりの19年春夏では、さらに広がりを見せる気配です。
トレッキングに出掛けるような気分を、タウンウエアに写し込むアレンジが基本形。ただ、すっかり登山ルック風にまとめてしまうのではなく、アウトドア感は程々にとどめて、ワンピースの上からマウンテンパーカを重ねるようなミックスコーディネートに整えるのが今の方向感になっています。
もともとメンズから始まっていて、今はウィメンズへの波及が進む段階を迎えつつあるようです。ウィメンズの場合、アウトドア特有のたくましさや実用性が加わって、ジェンダーミックスの着姿に整えやすくなります。強さやタフ感を宿した雰囲気にも仕上げられます。
アウトドアブランドの「THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)」や「Patagonia(パタゴニア)」「ARC'TERYX(アークテリクス)」「Montbell(モンベル)」などに加え、このテイストに強みを持つ「HYKE(ハイク)」はゴープコアのトレンドでさらに注目を集めそう。ダウンアウターやトレッキングブーツなどにも追い風になるとみられます。靴の「SOREL(ソレル)」「Timberland(ティンバーランド)」「HUNTER(ハンター)」なども街着になじませやすいモデルがそろっています。素材面ではゴアテックスやコーデュラなど、丈夫なケミカル系の出番が増える見込みです。
以前から音楽フェスティバルを意識した「フェスファッション」では、アウトドアが取り入れられていました。スポーティな装いという意味ではアスレジャーが先行していました。ゴープコアはもう一歩踏み込んでアウトドア感を強める感じになります。
サバイバルのムードを帯びているのも、ゴープコアの特徴です。気候不順や自然災害、テロなどへの不安感が背景にあるという指摘もあります。豪華なキャンプを意味する「グランピング」からの流れも感じられ、ライフスタイルや環境意識、健康志向などとファッションが一段と関係を深めてきたことの表れとみることもできそうです。
写真は「HYKE 2019年春夏コレクション 」 (c)Rie Miyata
Written By Rie Miyata
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