宮田 理江

2020 06 Dec

ユニクロ「LifeWear」2021年春夏コレクション・展示会リポート ポジティブでヘルシーな「着るチカラ」

「UNIQLO(ユニクロ)」の2021年春夏展示会が開催されました。コロナ禍が私たちの暮らしを劇的に書き換えた今、着る人に寄り添う「LifeWear」の存在はいっそう重みを増しつつあります。今回の展示会では、家で過ごす時間が長くなった「ニューノーマル」へのポジティブで健康的な提案が目立ちました。

キーメッセージに掲げられたのは「FIND YOUR HEALTHY」。快適さや健やかさを重視した服づくりを一段と進めるスタンスです。「ヘルシー」はワールドトレンドでも大きく打ち出されていて、軽やかでアクティブな装いが21春夏は盛り上がる気配です。

 

◆ニューノーマル下にフィットするスタンダードなアイテム

趣味の時間や、在宅勤務、ご近所タイムなどに、いちいち着替えないでもシームレスに動けるマルチシーン対応のウエアが軸に据えられています。

オンとオフをまたぐような装いで、気負わない「エフォートレス」が基本のムード。在宅ワークの広がりを背景に、リモート会議にも向く、きれいめでありつつ、伸びやかな着心地のセットアップなどが用意されました。

色で目についたのは、パウダーカラーやアースカラーなど、居場所を選ばない穏やかでニュートラル寄りの色。やわらかいトーンだから、様々な着こなしに取り入れやすそう。気持ちを落ち着かせてくれる効果も期待できます。

プルオーバー&ストレートパンツのセットアップやストレッチダブルフェイスジャケットなど、着やすい羽織り物が充実。軽やかなレイヤードを組み立てやすそうなライトアウターも揃います。サテンを思わせるつやめきを帯びた素材が装いに品格やアクセントを添えてくれます。

椅子に座って在宅ワークの時間が長くなったこともあってか、しわになりにくいアイテムも増えています。オールインワンも、窮屈さを感じずに済む楽ちんアイテム。

プリーツスカートは人気の続くボトムスですが、しわ加工を施したタイプも登場。実は「スカート見え」するワイドパンツだから、足さばきが楽で、ウエストゴムのおかげで締めつけ感フリーという点も、着心地の良さを高めています。

デニムパンツにも東レと共同開発した合繊テクノロジーを投入。軽くてストレッチ入りのうえ、洗濯しても色が落ちにくいと、メリットの多さが魅力です。

 

◆心地良さや癒やしはネオ部屋着で 自分らしいおしゃれの選択肢

家での装いは、これまではパジャマやスウェットなどのイメージがあったのですが、過ごす時間が長くなって、「自分らしいおしゃれ」を意識するように変わってきつつあるようです。

快適に過ごせるのはもちろん、心を整えるとか、暮らしにめりはりを出すといった、新たな役割を担う「ネオ部屋着」的なアイテムも登場しています。

ふわもこの風合いは、肌越しに癒やしをもたらします。セットアップで迎えれば、全身をやさしくくるんでくれるかのような安堵感も。ゆったりと過ごしたいおうち時間にぴったりのホームウエアです。

裾に向かって細くなっていくテーパードシルエットのデニムはトップメーカー「カイハラ」のデニム生地を使用。リラクシングなフィット感でレッグラインをすっきり見せてくれます。

 

◆健康美をサポート 高機能素材を使用したユーティリティアイテム

健やかさを保つうえで、適度なスポーツの意味はさらに高まっています。速乾をはじめ、運動シーンを支える機能を備えたアクティブウエアが一段と充実。色もフレッシュな元気色がそろいました。

激しく動いても引っかかりを感じさせないウルトラストレッチの軽く伸びやかな質感はスポーツ心を応援してくれます。汗が乾きやすく、自在に動きやすい高機能パーカは柔らかな素材で、スポーツから日常まで幅広いシーンに着用可能です。

 

◆「着け心地の良さ」と「見た目の美しさ」が両立するインナー

機能性アイテムはユニクロならではの強みを感じさせます。ワイヤレスブラはレースやメッシュが用いられて、おしゃれ感がアップ。ボディラインを美しくみせる機能をアップデートさせた新デザインが登場。在宅ワークを楽にするような工夫も盛り込まれています。


◆「癖になる」ほどの履き心地を追求したシューズ

今回の展示会で、大きな変化を感じさせたコーナーの一つが靴の展示です。ウィメンズもメンズもシルエットや履き心地がバージョンアップ。

試し履きしたウィメンズのフラットシューズはクッション性が高く、土踏まずのカーブ部分にソールがやわらかくフィット。もっちりとしたクッション使いで快適。ずっと歩いていられそうな軽快な履き心地でした。

丸みを帯びたアーモンドトゥの爪先に、履き口がV字カットになった、足がきれいに見えるフラットシューズにも注目です。

 

◆Uniqlo U

10シーズン目を迎えた「Uniqlo U(ユニクロ ユー)」には出番の多そうなライトアウターがラインアップされました。ジェンダーレスでまといやすい、オーバーサイズめのシルエット。サラッと羽織れる、リラクシングなたたずまい。色味もやさしくやわらかいトーンがいろいろ。

初めてキッズ向けが用意され、ファミリーで穏やかな雰囲気をシェアするリンクコーデが楽しめそうです。

 

◆UNIQLO / INES DE LA FRESSANGE

「UNIQLO / INES DE LA FRESSANGE(イネス・ド・ラ・フレサンジュ)」はナチュラルムードの色や風合いをそろえました。

フランスのリゾート地、ドーヴィルから着想を得た、アーシーな装い。花柄のワンピースは懐かしげなエレガンスを印象づけます。色のグラデーションや自然なしわ加工も穏やかな着映えに導きます。


◆HANA TAJIMA FOR UNIQLO

「HANA TAJIMA(ハナ・タジマ) FOR UNIQLO」はゆったりしたシルエット、静かな色合いなどで、リラックスした装いに整えています。

こだわりのディテールと快適さを追求。優しげでフェミニンなパフスリーブのワンピースやコットンジョーゼットのエレガンスを際立たせたTブラウスも登場します。

 

◆UNIQLO and JW ANDERSON

「UNIQLO and JW ANDERSON(ジェイ ダブリュー アンダーソン)」コレクションは、デザイナーのジョナサンが家にこもっていた時期に練られたアイデアがベースになっているそう。小ぶりの花モチーフがワンポイント刺繍であしらわれ、安らぎやハンドクラフト感を添えています。

英国流の落ち着いた雰囲気が着る人に寄り添います。色もグリーン系やスモーキー系のナチュラルカラーが選ばれ、自然体の着こなしに誘ってくれます。


◆UT

Tシャツの「UT」は引き続き、アートの魅力がたっぷり。今回の展示会で全体のイメージを示していたジェイソン・ポランは、ほのぼのしたヒューマンな絵柄が魅力的。自然とピースフルな気持ちにいざなわれるよう。

『ふしぎの国のアリス』やキース・ヘリングなどのモチーフもファンタジー感やポジティブ感をまとわせてくれます。


◆RE UNIQLO

以前からサステナビリティーを積極的に進めているユニクロは、新たに「RE UNIQLO(リ ユニクロ)」を掲げて、再資源化や再利用の取り組みを強化。会場ではダウンのリサイクル過程を解説していました。


ファッションはその時期の社会情勢や空気感を映し出すものですが、今回のユニクロ展示会は単に時代のムードを示すだけではなく、その先に望まれる希望や安心、健やかさなどを呼び込んでいるように見えました。先が見えない状況が続いているだけに、「服のチカラ」で着る人を応援したり元気づけたりする「LifeWear」の意味はさらに大きくなっていると感じました。

UNIQLO
https://www.uniqlo.com/jp/

 

Written By Rie Miyata

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