宮田 理江

2019 02 Jun

エシカルなおしゃれ ウガンダのシングルマザーが手作りするバッグ「RICCI EVERYDAY(リッチー・エブリデイ)」インタビュー

アフリカが次なるファッション発信地として関心を集めつつあります。ウガンダのシングルマザーが手作りするバッグをヒットさせたブランド「RICCI EVERYDAY(リッチー・エブリデイ)」を展開するRICCI EVERYDAY(静岡県静岡市)は2019年5月、ブランド初となる日本直営店「RICCI EVERYDAY The Hill」を東京都渋谷区猿楽町にオープンしました。カラフルでプレイフルなアフリカンプリントの布を使って、バッグやトラベルグッズをつくっているブランドです。

自分らしい生き方を選ぶ女性を応援する動きがファッショ界で盛り上がってきました。2019-20年秋冬シーズンに向けても、マニッシュな凜々しさや品格を備えた華やかさなどを印象づける装いが相次いで提案されています。

「リッチー・エブリデイ」が掲げているミッションは「世界中の女性が自らのポテンシャルに気づき、意志と誇りをもって生きる世界を実現すること」。ウガンダに直営工房を構えて、現地の女性たちと一緒にものづくりを進めています。

今回の直営店オープンに合わせ、同社の仲本千津・代表取締役COOにインタビューしました

 

◆「RICCI EVERYDAY」のオープンイベントに参加して、アフリカンプリントのアイテムが素敵でした。アフリカンプリントは明るい色使いやポジティブなモチーフ、ナチュラルな素材感で知られていますが、ウガンダならではの色や柄、素材の特徴を教えてください。

――ウガンダならではというアフリカンプリントはなく、アフリカ全土で出回っています。コットン100%ですが、プリントの方法によっては柔らかさが異なったり、糊がしっかり付いているものなどもあります。

 

◆ウガンダ発のアイテムを、日本人女性が取り入れることによって、どんなおしゃれが可能になるでしょうか。どんな変化を楽しめて、どういうメリットや使い方があるでしょうか。

――ウガンダや他のアフリカ諸国ですと、アフリカンプリントを全身にまとうことも多々あるのですが、日本人にはそのような使い方は難しいかと思います。そのためバッグや小物など、ワンポイントで取り入れやすい雑貨をアフリカンプリントにすることで、シンプルな装いでもパッと華やかになったり、一瞬で印象を変えることができるのではないかと思います。

同じバッグでも4通りでお使いいただくことができるので、お仕事やお買い物、ご友人とのランチ、ピクニックなど、様々なオケージョンに合わせてご利用いただくことができます。

 

◆ファッション以外にも、農業や観光業など、様々なビジネスを通して、アフリカで事業を展開できる可能性があると思われますが、どうして「アフリカ布を使用したバッグやトラベルグッズ」というモデルを選んだのでしょうか。

――私が日本人の友人たちとウガンダのローカルマーケットに初めて行ったとき、布屋に入った途端、私を含め全員が一瞬で布に魅了されました。天井高く積まれた布の中から自分のお気に入りの一点を見つけ出すまで、引っ張り出してみたり、自分の体に当ててみたり、あっという間に時間が経っていたことを覚えています。

その様子を見て、日本に暮らす女性たちにも絶対このプリント柄は受け入れてもらえるのではないか、私と同じワクワク感を味わってほしいと思いました。自分自身もファッションが好きだったので、起業するのであれば自分の好きなことで起業したいとも思いました。

 

◆日本ではまだ一般消費者がアフリカの魅力を広く実感するまでには至っていないと見えます。直営店のほかに、アフリカの魅力を日本で広めていくための、どんな取り組みをイメージしているでしょうか。既に取りかかっている事業、将来、実現させたい事業を含めて、お聞かせください。

――私は当ブランドの製品は「メディア」だと考えています。このプレイフルなバッグを通じて、お客様には生産背景やアフリカのこと、ウガンダのこと、現地の女性のこと、ファッションにまつわる光と影、私たちの消費スタイルのことなど、様々な分野について新しい気づきを得てほしいと思っています。

そのため、直営店舗ではバーチャルリアリティを用いて工房の様子をリアルに伝えたり、映画上映会やトークイベントを開催したり、オフラインでのコミュニケーション作りに注力していく予定です。直営店舗を、単なるモノの売買の場所で終わらせるのではなく、そこから新たな価値を生み出せる場にしていきたいと考えています。

 

仲本さんが言う通り、今回オープンした東京・代官山の直営店は、商品を販売するだけではなく、アフリカの魅力を体験できるスポットとして企画されました。「リッチー・エブリデイ」の価格帯は1万円前後で、割と手頃です。代官山の直営店のほか、大手百貨店やセレクトショップ、オンラインストアで取り扱われています。

見ているだけで気持ちが弾むような、アフリカンプリントの商品は、手持ちの服にポジティブなムードを添えてくれます。アフリカの働くママたちを応援できるというのも、すがすがしい心持ちになれます。筋の通ったエシカル(倫理的)なおしゃれを選びたいという、今の気分にもなじみます。

モードの重要テーマに浮上してきた「文化のクロスオーバー」を取り入れるのにも役立ちそうです。見た目のおしゃれ感だけではなく、買う側にとって納得度の高いショッピング体験を提供する取り組みは、女性へのリスペクトやサステナビリティ意識の高まりを追い風に、さらに広がりを見せそうです。

・店舗情報
店名: RICCI EVERYDAY The Hill
所在地: 東京都渋谷区猿楽町24-1 ROOB2 2階C
・ブランドサイトURL: http://www.riccieveryday.com/

 

Written By Rie Miyata

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