宮田 理江
テクノロジーをさらに活用して、買い物を便利に楽しく 女性応援の運動をサポート Rebecca Minkoff(レベッカ・ミンコフ)氏のインタビュー
ニューヨークモードをリードするファッションデザイナーの1人であるRebecca Minkoff(レベッカ・ミンコフ)氏はビジネス面でも新たな取り組みを続けていることで知られています。ブランドのCo-Founder and Creative Directorである彼女から、インタビューでクリエーションやビジネスに関して幅広くお話をうかがう機会を得ました。
◆ファッションとIT、SNSの先駆者としても有名ですが、ファッション×ITが融合したNYの旗艦店ではどのような効果がありましたか? 日本にもNYのような店をオープンする予定ですか?
――私たちは常にお客様が親しみやすく、魅力的なテクノロジーを生かした店舗を作るようにいろいろとチャレンジをし、最適化を図っています。同様に私たちは、お客様と常にシームレスな関係でありたいと思っています。
他の名だたるブランドよりもさらに新しい手法でやっていこうと思っています。最近ではSOHOのお店のフィッテイングルームは、NFC技術(=かざすだけで情報を読み取れる、交通系電子マネーにも使われている技術)を取り入れて、お客様に新たな体験を提供できるよう、アップグレードしました。
例えば、お客様の携帯電話をさらに活用し、お客様のショッピング体験を、より魅力的に、そしてパーソナルなものにできるように努めています。お客様がオンライン上の欲しい物リストを見たり、商品をショッピングカートから出し入れしたりして、オムニチャンネル(=店舗でもオンラインでも購入できる)な体験にアップデートしています。
お客様の携帯デバイスを通して、オンライン、オフラインな体験を一体化できるようにしています。将来的には、鏡をディスプレーに使って、画面をタッチするだけで、支払いまで可能になる仕組みを目指しています。
私たちは、常に店舗展開を拡大し、システムもアップグレードし、テクノロジーを生かした店舗イベントも企画しています。テクノロジーを通して、オンライン、オフラインを組み合わせて、収益力を高めていく計画です。
近い将来、SOHO店ではお客様がFACETIME(=アップル製の機器同士で音声通話・ビデオ電話ができる機能)を使えるフィッテングルームを設けたいと考えています。
2019年に計画しているのは、ストリーミング配信と組み合わせた、ライブ即売イベントです。海外のクライアントにデジタルショッピング体験を提供したい。ライブで商品を見ることができて、即購入ができるというイベントになります。もちろん、日本は将来的に他の国と同様、大切なマーケットであるので、店舗を持ちたいと思っています。
◆NYから火がついた「See Now Buy Nowコレクション」。NYでは路上でショーを開催したり、ショーの後にショッピングパーティを開いたりとビジネス面で成功させてきました。「See Now By Now」ショーを実行した理由、今後の計画を教えてください。
――SEE NOW BUY NOWは、私たちがブランドを拡大していく上にあたって、お客様にとってもブランドにとっても当然な時代の流れでした。私たちは、ランウエイで何が発表されるのか、お客様に常にワクワクしてほしいと思っています。
2019年2月のショーでは、NYFWに戻り、コレクションを披露しました。コレクションの裏にあるインスピレーションは、私たちの創業の時からの精神である想像力(CREATIVE)、自由(FREEDOM)、情熱(PASSION)です。
私たちは、I AM MANYというスローガンを強調したい。私たちが着る服も全てI AM MANYがベースにある多様性です。
現代の女性はいろいろな顔を持っています。私(レベッカ・ミンコフ)を例にあげても、デザイナー、起業家、母、娘、デザイナー、女性支援活動家です。その多様性を受け入れることこそが、自分自身を強くさせ、自信をつけさせ、自分の目標に向かって道を切り開くことができます。
私たちは新しい試みとして3Dのデジタルアーティストとコラボレーションをして、現代女性の多面性を表現しています。
◆パリやミラノのブランドにはそれぞれの都市らしい特長がありますが、アメリカ、デザイナーがカリフォルニア生まれで、ニューヨークをベースとする「レベッカ・ミンコフ」ブランドならではの強み、魅力は何でしょうか?
――私たちの大切なミッションは、私たちの商品、私たちのブランドのフィロソフィ、イベント、デジタルプラットフォームを通して、女性に力を与え、勇気づけることです。私たちのコミュニティーとのつながりは常に本物であり、発展させることを心掛けています。こうした努力を続けていきます。
I AM MANYのブランド哲学は、女性を勇気づけ、鼓舞し、多様性を受け入れることこそが、女性を強くし、目標に向かって、突き進む力になります。このような活動をできることが私たちの強みです。
◆ITバッグ「Morning After Bag」をヒットさせましたが、このバッグが支持された理由と、今後のさらなる展開を教えてください。
――2001年に私は、5枚のカプセルコレクションの一環として“I LOVE NEW YORK”というTシャツをデザインしました。そのTシャツを友達の女優であるJENNS ELFMANに送ったところ、JAY LENOが司会を務める人気トーク番組『ザ・トゥナイトショー』で着てくれました。そのおかげで一夜にして人気を呼び、それ以来ずっと人気が続いています。
数年後、友達のJENNAが私に電話をしてきて、今度の映画のためにバッグをデザインしてほしいと頼まれました。その際にデザインしたバッグが後に大ヒット商品そして定番となっていく“MORNING AFTER BAG”です。
そしてDAILY CANDYというオンラインマガジンでレベッカミンコフのバッグの特集記事が掲載され、それが次の成功につながっていきました。その時から、私たちは、グローバルブランドとして、たくさんの種類の商品を展開しています。洋服、ハンドバッグ、シューズ、時計、ジュエリー、サングラス、水着、テクニカルアクセサリー、旅行用スーツケースなど、バラエティーに富んだ品揃えです。店舗はアメリカ国内に4店舗、海外9地域があり、そして世界900店舗で取り扱いがあります。アメリカでも有名デパートのNordstrom、Neiman Marcus、Saks、Bloomingdalesに展開しています。
1種類の5枚の商品を開発してからグローバルライフスタイルブランドに成長したことは、非常に感激です。女性起業家として、私は、他の女性を勇気づけ、サポートをすることで、女性たちに自信を持ってもらい、成功してほしい。将来的にも、私はレベッカミンコフがお客様と共に成長し、美しい商品を届け、女性にインパクトを与えるよう、努めたいと願っています。
最近では、FFCといいう団体を発表しました。この団体は、大勢の起業家の女性達のネットワークです。FFCは、その女性起業家ネットワークを通して、起業家女性をサポートしています。
私たちのミッションは、起業家女性に勇気を与え、そして、彼女たちのビジネスがコミュニティにとって社会的にも経済的にもポジティブな影響を与えられるようにすることです。FFCに関しては、たくさんの情報を公式ホームページから得られます。FFCの活動が国際的に広がっていくことを望んでいます。
◆近頃はファッションの比重が服から、靴やバッグに移りつつあるといわれ、アメリカの百貨店での売り場にもそういった動きに合わせていると聞きますが、そのような変化を感じますか。
――デジタルと電子商取引の世界は、ここ数年で大きな変化を起こしています。私たちの卸、リテール、電子商取引が全て統合され、お客様のショッピング体験がシームレスになりつつあります。将来的にはさらに効果的なテクノロジーを使って、私たちのブランドがどんなことをお客様に提供できるようになるのか、楽しみな気持ちです。
◆ミレニアル世代はショップに行かず、スマートフォンでの買い物を好む傾向にあるといわれますが、こういった消費者の変化はデザインやファッションビジネスにどのような影響をもたらしているでしょうか?
――私たちは、フォロワーをもっと「大胆」な生活へ導こうとしています。レベッカミンコフのインスタグラムや、他のソーシャルプラットフォームでは、「RMSuperwoman」というソーシャルプラットフォームを通して、いろいろな業界で活躍している女性リーダーが彼女たちのライフストーリーを伝えることによって、女性たちを勇気づけています。
◆日本の女性に「レベッカ ミンコフ」の服やバッグをどのように着こなしに生かしてほしいと考えていますか?
――自信を持ってレベッカの洋服を着こなしてほしい。自信を持つことが一番大切です。これは、世界中のお客様へのメッセージです。私たちは一方向のブランドではありません。女性にエキサイトしてほしい。そして彼女たちの日々の生活で何が起こっているかを常に取り上げ、サポートしていきます。どんな女性の側面をも受け入れています。1人の女性の中には、ビジネスウーマンの顔、母の顔、娘の顔など、いろいろな顔があります。そのいろいろな顔に合うような商品を作っています。
テクノロジーに前向きなのに加え、女性へのサポートに熱心な様子が彼女の言葉からうかがえました。単に商品を生み出すだけではなく、人生をポジティブに楽しめるよう、女性の背中を押すような姿勢に共感を覚えました。
Rebecca Minkoff
https://www.rebeccaminkoff.com/
Written By Rie Miyata
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