久保 雅裕
パリ 土曜日の憂鬱
左右ともに閉鎖された道路で、左はマドレーヌ寺院からコンコルド広場に向かう道、右はエリゼ宮方面のサントノーレ通り
2019年1月19日、土曜日。この日がやってきた。年末クリスマス休暇で一旦沈静化したかに見えた「ジレジョーヌ(黄色いベスト)運動」だが、第1土曜、第2土曜と参加者を増やしてきており、第3土曜のこの日は更に参加者数を伸ばした。しかも昨年までは右岸に集中していた暴動が左岸のサン=ジェルマン・デ・プレにまで飛び火したのが第2土曜の事。更にこの日は初めて公式なデモが左岸で行われることになり、アンバリッドからモンパルナス、サン=ジェルマン・デ・プレを経るコースとなった。もちろん主戦場となるシャンゼリゼ大通りもデモ集結点の一つなっていた。
写真①
この時期は、パリ・メンズファッションウイークでコレクションショーの開催時でもあり、かつ「フーズネクスト」「メゾン・エ・オブジェ」といった大型見本市や「トラノイ」「マン/ウーマン」といったデザイナー系合同展も開かれていた。
規制区域に入る場合は荷物をチェックされる
そんな中、在パリ日本大使館から在留邦人に向けた詳細な注意喚起メールが届いた。閉鎖されるメトロ駅やバス路線、デモルートの詳細が記載されており、筆者はパリに来ている友人、知人宛に「拡散了承」とメールを転送した。海外に居る時には、こうした日本語情報はとても有り難い。金曜日の夜には、プレス、コレクション関係者の中で、「サカイ」の会場となるグラン・パレにどう辿り着くかなどが話題となっていた。つまり閉鎖される地下鉄駅の真っ只中だったからだ。パリに詳しい人であればすぐに分かるが、グラン・パレを中心に東西は1番線のフランクラン・D・ルーズベルト、シャンゼリゼ・クレモンソー、コンコルドが閉鎖、南北は、ミロムニル、アンバリッド、アッセンブリー・ナショナルが閉鎖と、言わば八方塞がりの状況だったからだ。
写真②
その後、PR会社から会場への徒歩進入ルート(写真①)やサンディカの発行した通行許可証のようなマーク(写真②)が送られてきた。それぞれ事無きを得たようで何寄りだったが、翌日曜も「女性によるジレジョーヌ」と「中絶を防止する」のデモ2本があり、気を抜くことのできない週末だった。
コンコルド広場へは完全なバリケード封鎖状態
コンコルド駅入口はご覧のように閉鎖され、地下鉄は通過してしまう
さて次の土曜日、第4土曜(1月26日)は子供服の秋冬展示会ピークで郊外のヴァンセンヌの森で開かれる「プレイタイム」とマレ地区で開かれる「キッド」がある。ジレジョーヌ が更に拡大するのかを含め、リポートしていきたい。
キヲスクにある「l'express」の宣伝ポスターには「フランスは無政府状態なのか?」のタイトルとともにマクロン大統領の背後に「フェイスブック」のロゴがある。グローバル大企業をバックにしているとの揶揄だろうか。