久保 雅裕
2020-21AW パリ・キッズ・レポート【前編】
植物園内の会場だけに自然が豊かなプレイタイム・パリ
パリの子供服合同展は、27回を数える大型トレードショー「プレイタイム・パリ(playtime paris)」と小規模なクリエーターのトレードショー「キッド・アパートメント(KID・ APARTMENT)」が復活を果たしてから3回目の開催を迎えた。<データはグラフと表を参照のこと>
1月25~27日、パリ南東部郊外、ヴァンセンヌの森にあるパルク・フローラル見本市会場で開かれた第27回プレイタイムには466ブランド(前年同期比16.6%減)が出展した。うち初出展は102ブランド。昨年同期に少しだけ持ち直した出展者数も、今回は一気に減らした格好だ。
来場者数は前年同期比22.7%減の5590人で、これまでの微減傾向から大幅減となった。内訳はフランス国内が46%、海外が54%と例年通りの傾向。フランス以外の欧州からは40.6%で、アジアは8.3%(前年同期は6.7%)を占めた。欧州の来場国順位は、ベルギー、オランダ、スペイン、英国、ドイツとなり、前回から姿を消したイタリアは圏外のまま戻ってきていない。欧州域外では韓国が米国と並んで1位となり、日本は一昨年2位、昨年の4位から3位に浮上した。次いで中国、ロシアの順だ。
セバスチャン・ド・ユッテン代表(ピカフロール社)
主催するピカフロール社のセバスチャン・ド・ユッテン代表は、出展者を大幅に減らしたことについて「経済環境の問題もあるが、市場の規模に対して展示会が大きくなり過ぎた。国際的なマーケットにおける需給バランスを保つことを考えても、この規模が適正だと思う」と大手ブランドの倒産・廃業の事例も上げつつ語った。さらに「展示会を大きくしようと考えず、視点を変えて取り組んでいるのがバーチャルショールームのマーケットプレイスで、現在655ブランド、3047人のバイヤーが登録しており、年2回のリアルな出会いの場と通年で長く出会えるマーケットプレイスの両軸で考えていく」と今後の戦略を披露した。「予算も少なく規模の小さいクリエーターには、PRやSEO対策でも限界があり、グループで動くことが大切だ」として、マーケットプレイスの活用を勧めていくそうだ。
第6回「キッド(kid)」が43ブランドを集めて2017年7月に開催され、これを最後に開催中止して1年半後の昨年1月に「キッド・アパートメント(KID APARTMENT)」が立ち上がった。3回目を迎えた今回は、27ブランド(前年同期比58.8%増)が参加し、プレイタイムより1日長い、1月24~27日にマレ地区で開催された。さらに同地区の12(前年同期7)の個別ブランドのショールームをネットワークし、「キッド・ショールームス(KID・SHOWROOMS)」として連動を図った。マレ地区の地図にそれぞれのショールームを落とし込み、バイヤーを回遊させる仕組み作りが根付いてきたようだ。
全体としては、出展者数、来場者数ともにトレードビジネスの縮小傾向と軌を一にするトレンドとなったが、この傾向にいつ歯止めが掛かるか、いや掛からないかもしれないが、その辺りについては今後とも注視していきたい。
【後編】では、日本からの出展者をリポートする。