久保 雅裕

2020 20 Apr

コロナ禍で中国出張授業はSNS配信に

杉野服飾大学を擁する杉野学園は、目黒駅近くの「ドレメ通り」に点々と幾つかの校舎を持っている

先週は3日間ほど、大学に出向くことになった。「三密(壇蜜ではない)」を避けるために、クルマで出勤、本校舎の中庭に駐車させてもらったのだが、目黒駅から徒歩5分の立地に贅沢な古い校舎は、なんとも「昭和レトロ」で心地良い。さらに杉野芳子が暮らしていた杉野記念館や1957年に日本で初めてのコスチューム・ミュージアムとして完成し、各地で収集された歴史的な西洋衣裳、民族衣裳、日本衣裳、手芸品がテーマごとに展示されている杉野学園衣裳博物館に至っては、かなり趣のあるスポットだ。

さて、毎年5月に上海からクルマで3時間ほどの寧波市にある浙江紡織服装技術学院に1週間の集中講義に出向いている。今年はコロナ禍により、現在、学校も閉鎖されていて、SNSを使って実技の授業を行っているそうだ。当然、私も今年は出かけて行くことを諦め、100分×15回で1週間の授業を遠隔で行うべく、いろいろと学校側で検討してもらった。

結果としては、パワポデータを見せながら、いつも行う授業そのものをビデオに撮って、それらを中国のSNSを通じて、生配信して個々の学生が自宅で観るという形に落ち着いた。

従来通りの「ファッション産業の全般的理解~素材から世界の歴史と産地まで」「世界の流通リサーチ」「取引条件と流通構造の変化」「ファッション産業の職種」「トレードショーと輸出入」などのタイトルに加えて、今年から「サステイナブルとファッション産業」と題した100分を超える講義もぶち込んだ。(^-^; 専門用語や固有名詞など、かなり詰め詰めなので、学生たちにはハードな内容だったかと思う。

これを契機に、「デジタル機器を取り揃えて、遠隔・生配信授業ができるようになれば、それはそれでもっと充実した内容にできるかな」などと期待も膨らむ。一方で同じ場所で、同じ空気を吸い、笑いも共有でき、前述のような詰め詰めの内容を丁寧に説明できるリアルな授業の大切さもしみじみと感じた。

一日も早い収束を願いつつ、STAY HOME、この時間を次のステップの為の充電時間にあてるように過ごしましょう。

蘆繁華先生(写真左)の中国語訳は、適切で素早くて助かりました