久保 雅裕
2019-20AW パリ・キッズ・レポート【後編】
プレイタイム・パリのアーテイストコーナー「エスパス・クレアティフ」
プレイタイム・パリには日本から5ブランドが出展した。
最古参となる12回連続出展の「タゴ(tago)」は、前年同期からプレイタイム1ヶ所に絞り込んだが、前回の春夏展と同様、秋冬も来場者減に悩まされたようだ。モナコの既存店が「あなたの為だけに来た」との力強い言葉に励まされ、受注を確保。フリースのワンピースやパグのモチーフトレーナーやパーカーに反応があったという。
3回目の出展となった「フォークメイド(folk made)」は、プレスの反応が良く、クリスマス号に掲載されたのも影響した様子だ。既存と新規含め、中国、台湾、韓国、ドイツ、フランス、スイス、米国、カナダなどから反応が取れたという。評判が良かったアイテムはニットとカッソーの切り替えや毛足の長いボアのケープ調コートなど。
同じく3回目の服飾雑貨「オーシャン・アンド・グラウンド(OCEAN & GROUND)」は、人気のデイパックを前面にしつつ、ビンテージ、リメイクテーストのウェア「グラニー・ブランケット(granny branket)」も披露。こちらも反応が良く、フランス、オランダ、イスラエルなどから受注が取れそうだ。バッグも25件近い反応が取れたという。
以前、別ブランドで出展経験もあり、3年振り2回目の出展となった「エルフィン・フォーク(eLfin Folk)」は、既に米国、中国などに既存取引先があり、今回は新規でイタリア、オランダ、ベルギー、韓国などからも反応が取れ、さらにはフランスのギャラリーラファイエットの訪問も受けたようだ。会期中にマーケットプレイスで中国からオーダーが入るなどバーチャルショールームとの連動も確かのようだ。手編みのニットマントなどフォークロアテーストに手応えがあったそうだ。
2回目の出展となったドレスブランドの「ローラ(Rora)」は、ブースの端から端までの作り付けの舞台に、10体ほどのトルソーを2段で見せる大胆なディスプレイが好評だったようだ。カナダ、台湾、韓国に加えて、新規でロンドンの4件、スウェーデン、ルーマニアなどから反応があった。黒のドレス系やチュール素材が評判良く、次回出展にも意欲を見せていた。
2層でこじんまりとした落ち着いた雰囲気のキッド・アパートメント
キッド・アパートメントには英国のパドラーズ・ショールームが日本ブランドをまとめて出展。「イースト・エンド・ハイランダーズ(EAST END HIGHLANDERS)」はこの1年間、踊り場だったが、今回はまた増やせそうな勢いを感じているそうだ。特に大手小売業の少ないベルギーは個店が多く来場しており、ドイツからも新規を探しに来ている。リバーシブルのブルゾンやパディングコートなどに当たりがあったという。
「フィス(FITH)」はアジアでの知名度が抜群と感じる事が多いそうだ。柔らかい素材のカットソーやキルティングのフーデットコートに反応があった。この他「タイオン(TAION)」「ザ・パーク・ショップ(THE PARK SHOP)」「アツヨ・エ・アキコ(ATSUYO ET AKIKO)」が参加した。
ザ・パーク・ショップ
アツヨ・エ・アキコ
タイオン
個別ショールームでは、「ボントン(BONTON)」「フィンガー・イン・ザ・ノーズ(FINGER IN THE NOSE)」「ウォルフ・アンド・リタ(WOLF & RITA)」「ベルローズ(BELLEROSE)」などが参加した。
日本ブランドのパリからの進出規模という点では一進一退の様相だ。ただトレードビジネスが縮小傾向とは言っても、ピッティ・イマジネ・ビンボとプレイタイム・パリの存在感は、いまだ大きい。「インターナショナルにデビューする場」としてのパリの位置付けには、メンズ、ウィメンズ含め、「それほどの揺らぎは無い」というのが実感だった。