久保 雅裕

2021 07 Nov

110年物のアンティークウォッチが壊れた!

確かパリの「ヴァンブの蚤の市」で手に入れた無銘のレディスウォッチなのだが、文字盤はリダンなのか状態が良く、裏蓋には「25th.Feb.1911」とDとEを組み合わせたようなエンブレムが刻印されている。黒ずんでくるため、銀製なのだろう。ムーブメントは手巻きだ。
恐らく、何かの記念日に贈られたのでは?などと想いを馳せながら眺めてきた。


そこで修理を依頼しようと、最近「ROLEX」のGMTマスターコンビと「TUDOR」サブマリーナのイカ針で、1980年フランス海軍公式時計の2本を立て続けにオーバーホールと修理を頼んだ時計修理専門店に電話で確認してみると、「古い無銘の手巻きは扱えない」と断られてしまった。
さて気を取り直して、地元・中野で、いくつかビンテージ時計店を知っているので、再度、試みたのだが、あっけなく、素っ気なく断れられた。それではと、めげずに片っ端から電話で確認してみたのだが、ことごとく敗戦!!
10軒以上は当たってみたのだが、どこも受けてくれない。
そして、やっと「とりあえず見てみましょう」と言ってくれたのが、銀座一丁目の「時計修理工房・白金堂」だった。
見積りに約3週間、それから2か月半後に修理が完了して上がってきた。なんと110年前の時計が日差60秒に再生。藁にもすがる思いだったのだが、こうした店が残っていたことに感謝感謝、有難いことだ。
面倒な修理は効率が悪いから行わない、あるいは技術者の高齢化や不足のせいなのか?
もしかしたら、おじいちゃん、おばあちゃんの棚に置き忘れたビンテージ時計が一つや二つあるのではなかろうか。息を吹き返させることで、新たな価値創造に繋がるはず。
サステイナブル時代に見つけたエアポケットのような現象に、ビジネスのヒントがあるのではと感じた。