北川美智子
新時代のキモノコレクション
JFW開催に合わせて2023 TOKYO KIMONO COLLECTIONが9月30日(土)日本橋室町の三井ホール(COREDO 室町テラス3F)で行われました。
日本の伝統文化の一翼を担う着物は今の時代のライフスタイルではマイナーな存在かもしれませんが、私達日本人の心の中では拭えない大きな存在になっているのは確かです。
絹、麻、綿と素材は洋服と同じであり、その表現や形、着こなしでがらりと様子を変えてしまうキモノの存在感が大きいのは、SNSやAIが主役となりつつある日常とは少し違う「非日常」を演じてくれるからかもしれません。
寒くなればウールのコートやファーのショール、カシミアのマフラーなど洋服と変わらない素材使いがあります。
キモノが欧米のデザイナーに多くのヒントを与えていることも知られていますが「巻き付ける」という機能的な着こなしやスタイリングを締めくくるような帯の美しさにも大きな魅力があります。
2013年にスタートした同コレクションは新しい試みや若い人たちに時代を反映したキモノ文化を発信する意味で根強いファンを持っています。
最近の特徴は洋装からのアイディア、ライフスタイルに併せた新しい着こなしや色、柄の表現に新しい感性を加えるなど、サスティナブルを思わせる日本文化の伝承のかたちが示されるような気がしました。
今回の参加は次の三社です。
綺萌野(キモノ) (青野工房) デザイナー 青野保夫
キモノはファッション!女性を素敵にしたい想いで作品作りをしている。
青野工房は「和装と洋装の融和と混沌」をテーマに自己表現のアイテムとしてのキモノを制作。
ローケツ染め、着物とは?ファッションとは?について掘り下げる。
https://www.aonokoubou.com/
となみ織物
1850年(嘉永3年)初代砺波宗助が富山県砺波より組紐師として入洛して創業。
のちに組紐や~織物へ発展。
今では西陣で数少ない帯メーカーの一つとなる。
日本の伝統産業を担う責任と誇りとともに、その時代の新しい美しさを追求したものつくりを心がけている。
https://www.kyo-tonami.com/
JOTARO SAITO デザイナー 斎藤上太郎
日本の伝統美を大切にしながらも世界に目を向け独自のキモノ観を持つJ.SAITOは、幅広い年齢層に人気がある。
今回は4年ぶりの墨田川花火大会の見事さに新しい時代の幕開けを肌で感じ「PARTY」と名付けたショーを開いた。
https://www.jotaro.net/
今回はとなみ織物のショーの様子をお伝えします。
となみ織物 KIMONO/OBI/HAORI
三つのショーの中では最も和の伝統を重んじ、そこにモダン、シック、優しさ、楽しさを加え、正統派として現代によみがえらせたキモノや帯を発表した。
ショーのスタートを待つホワイエには30代,40代のキモノ姿のファンが詰めかけた。
帯結びもほとんどがお太鼓(名古屋)とつのだしで大人の女性を思わせる落ち着いた着こなし。
フィナーレの振袖がないのも納得がいくものだった。
会場もゆったりとショーを楽しむ同社のキモノ姿の女性でいっぱいだった。
モチーフのテーマは;桂色あそび、トクサ、南蛮七宝、花宇宙、楽園ンゴロンゴロ、相良アラベスク文様、ケルティック、相良レース模様、四季草花図他。
若い人に着られる大人のキモノに魅力を感じる。