北川美智子
2025-26A/Wに向けた素材展
2025 新年考
波乱含みの年明けでしたが、米国の二期目となる新大統領の新路線に世界中が振り回された1月が終わろうとしています。
あまりにも多岐に渡り変化や混乱に近い激動が起き、その足元の揺らぎを感じます。
しばらくはしっかりとした立ち位置をきめるための努力と工夫をすべき時といえましょう。
そんな中でFBはどの様な動きを見せているのでしょうか?
昭和、平成、令和の時代をまたいで今年は昭和100年にあたります。
様々な分野でこの100年を振り返る機会が増えそうです。
同時に2000年を超えた頃からの社会全体の変化のスピードが速くなり、過去がどんどん忘れられていく事態が危惧されています。
時には過去の変化を今に対応させることも必要になるかもしれません。
昨秋に行われた各種素材展はどれも日本のものつくりのすばらしさを再認識するものであり、洋服などの製品に至る工程がそのスピードや手段の変化とともに新しいビジネスの局面に入っていることを実感します。
政局が変わり、経済の循環が変化し、激動の世界情勢の中で日本のもの作りはどうなっていくのか?
2025-26AW向けの素材展を振り返ってみたいと思います。
・PUWA PUWA 展 (和歌山県高野口産地展)
2024 10/2~3 表参道コレツィオーネにて開催
国会議事堂の椅子に使われているモケット素材がシルクだということを知っていますか?
政権交代の場面で国会の様子を目にすることが多かった昨秋、議事堂の重厚な椅子を何度も見ました。
それは高野口というパイルの産地で作られたものです。
高野口はフェイクファーやパイルを中心に染めや加工技術で様々な用途を開発してきました。
ベルベットやベロアから化粧時に使うパフ、フェイクファーを中心に縫いぐるみやアウター、毛布などで知名度が高く、中でも新幹線や車の椅子張りの布はこの産地の代表的なものとなっています。
再撚りのパイルは両面が同じ柄になり、ドイツのフェイラー社のタオルハンカチでイメージを共有しています。
衣類の分野ではフェイクファーとしてアウターをはじめ様々なウエアやマフラーなどに使われています。
その他寝具、縫いぐるみなど実に広く私達の生活の身近に存在します。
加えて特殊ともいえる素地に施すプリント技術、カッティングやシャーリングによるケバ立ち、凸凹感など、高野口というパイル産地ならではの加工技術の活用が見られます。
素材メーカーとしての立場から加工、仕上げの工程を産地内でこなし、専門家による製品のアドバイスを受け消費者に届くもの作りを目指しているなど今後の発展が期待されます。
参加は12社。
会場と各社の様子を簡単にまとめました。
1)野上織物(株)
2)井脇織物(株)
3)青野パイル(株)
4)原田織物(株)
ラッセル、経編、天然素材にプリントを施したスカーフを“KIYOI”ブランドにて制作。
5)東陽染業(株)
綿100%にぼかしプリント、ムラ染め、カゴ染めを得意とする。
6)(株)日本ハイパイル
ペットボトルの再利用、エコペット歴20年。丸編み、綿の活用。
7)妙中パイル(株)
8)松岡織物(株)
9)(株)岡田織物
ファーのバッグ
10)杉村繊維工業(株)
再撚りとファー小物
11)ヤマシタパイル(有)
コーティングした基布で柔らかな伸びを出す。心地よいストレッチ。
12)(株)木下染工場
ファーのプリントにこだわる。バスマットまで。他に下着用ニットの反染め。
※各社の代表素材でおなじサンプルアイテムを提案。