北川美智子

2020 18 Apr

Premiere Vision 2021 S/S 8 Fancies Selection その1

 COVID-19のニュースに明け暮れるこの頃です。
 世界中の日々の生活にこれほど影響を与えている出来事はありません。
 じっと耐えながらのこの生活がいつまで続くのかつい悲観的になってしまいますが、先のPVの美しい素材を思い起こすと少しでも気が晴れて前向きになるような気がします。
 今回は中でも最も華やかで、技のすばらしさ、色の美しさ、ファッショナブルな表現にも欠かせなくなった機能性やリアルクローズに近づいた沢山の素材をご紹介します。
 Fancies Selectionはシーズンの装飾のハイライトであり、プリントモチーフ、ジャカード、先染め、レース、刺繍がドレッシーなフェミニンや日々のデコレーションの為に提案されました。
 ここでもエコレスポンシビリティ―が注目されます。
 ご紹介したい写真が多数になりましたので最初にプリントやジャカードのモチーフを中心に、続いてカットジャカード、レース、スパンコール、刺繍をまとめます。

 21S/Sのデコレーションは軽さと静と動の表現からスタートする。
 繊細さとアートフルな解釈が同時に行われ、夏の役割をきちんと踏まえた植物の装飾効果がうたわれる。
 ファッションとしての植物をよりファンタジックに強調しつつ、エコロジカルなオファーを行う。

「フレッシュな夏の表現」
 夏はソフトな色使いでフレッシュな表現を。
 花々はキャンディのようにグラフィカルに咲く。
 丸みを感じさせ、光沢がありいつもとは異なる下地にまるで時代遅れのような姿でオーガンザの上に咲く花。
 デリケートなトーンオントーンのジャカード。
 シルクに施した水彩画のようなイカットはかくれんぼをしているかのよう。
 ナイーブな春の景色や花はアイレットや刺繍を組ませてチャーミングに。
 葉っぱたちはまるでカラフルなジャングルのように大胆でコミックのような存在。

「表現力豊かなマーク効果」
 強く打ち出した線などは手書きしたものが大きな効果を上げる。
 ブラッシュストローク、輪郭のはっきりしたスケッチ、水彩画のパサージュなどがその証。
 グラフィックは流れるようでわかりやすく、自由で気持ちを込めたもの。
 フラットでぼかしの効いたもの。 溶け合う色。
 より丸みを帯びた形態のテクスチュア。
 波状。
 まるでシルクに描いたようなソフトな幾何柄。
 アウトラインはプリントやシルクに施され、職人が作るレースのよう。
 切り絵のような花や幾何柄。
 半透明効果のあるレース調。

「グランドを広くとったモチーフ」
 浸み込んだような装飾。
 織り方やテクスチュアの持ち味に沿って柄のスペースを空けて置く。
 軽快でスペースをたっぷり置いた花プリント。
 夏の息使いのように柄がいっぱいで無地のようにも見える楽しさ。
 絹の透明感や半透明感。
 大きく開いたカットジャカード。
 まるで何かを忘れたようなデリケートな花。
 カラフルな花柄刺繍。

「気品あるラスティックさ」
 素朴ながらも非常に洗練されたクラフトマンシップが最もラグジュアリーなプロダクトを生み出す。
 ゆったり感のある刺繍。
 コットンの味を生かした花モチーフのリバーレース。
 ラフィアを使ったジャカード。
 コットンらしさを生かし手持ち感をソフトにした刺繍。

「雄弁な浪費」
 テクニックやスキルは手を結び、さらに向上し楽しくにぎやかな浪費を行う。
 マルチカラーの刺繍にさらにプリントしてスパンコールをつける。
 ランダムなプリントにもメタリックヤーンを使い、揺れるたびに光りが動くジャカード。
 スパンコールの花びらをつけ、レリーフを強調したり流れるような波動を作り出すシルク。

 

写真はプリントモチーフ、ジャカードを中心にまとめたものです。