武田 尚子
「フェムテックジャパン」をレポート
新しいビジネスチャンスへの期待から、最近、急速に話題を集めている「フェムテック」。
先週、アニヴェルセル表参道で開催された合同展、「フェムテックジャパン2022」では、女性特有の性と健康の問題解決に取り組む製品とサービスを提供する、業種も多種多様な出展者が50社近く集まった。その中から印象に残った出展者を紹介したい。
まず、インナーウエア関連では、敏感肌や乳がん手術後の体の変化に悩む人から支持されている「フリープ」(島崎)。100%国内自社工場生産による丁寧な物づくりが強みとなっている。
フロア前面で紹介されていた「Hogara(ほがら)」は、繊維商社の豊島によるオーガニックコットン吸水型ショーツ。同社の女性社員が「私たちが今欲しい」という思いを込めて立ち上げたプロジェクトで、廃棄食材を再活用した染料による色展開と多サイズ展開が特徴となっている。
「補正」下着メーカーのダイアナからは、同社らしい補整機能のノウハウを活かしたかたちで、生理用吸水ショーツからガードル内蔵のメイクアップパンツまでを紹介した(ブランド名「プラスエフティシュープリームララ」)。
コスメやサプリ、美容器具など、美容サロン関係の出展も目につく。美容サロンにとって「フェムテック」は生き残りをかけた差別化策といえる。
バスト&子宮ケアの専門サロンでは、バストのセルフケアのための苦しくないノンワイヤーブラジャー「アンジェリックブラ」をオリジナルで開発。栄レースの美しいリバーレースが使われている。
さらに、「デリケートゾーン」も一つのキーワードとなっており、特に印象に残ったのは、VIO脱毛専門サロンから生まれたデリケートゾーンの黒ずみケア専門のコスメを紹介した、創業21年のファンスクウェア(株)。「見た目の美的な悩みが中心の若い人から、妊活、更年期と、世代別に悩みは異なります。最近は介護脱毛も課題の一つになっていて、インフルエンサーの影響でこの意識は男性にも広がりを見せています」と、同社の藤森暁子社長は話してくれた。
生理から妊活、マタニティ、更年期、セクシャルヘルスと、多面性を持ちながらも、いずれも女性のエンパワーメントを支援するという姿勢は共通している。
製品からアプリなどのサービスまで、新規参入が相次ぎ、現在はまさにカオスともいえる状態だが、将来的にはどのような成長と定着を見せるか、大いに注目される。