武田 尚子
2019
10
Jul
LYCRAからROICAへ
今回の素材展アンテルフィリエールの方向性を一言でいうと、“サスティナブル”のさらなる推進だった。また?というなかれ、“サスティナブル“および“エコロジー”こそが、長期的視野の世界的大命題かつ社会的責任であり、今回は同素材展のあらゆる出展者がこれに関する商品を打ち出したという。
それほど目立った動きを見せない日本国内のアパレルとは好対照だ。
化学原料を使わないバイオベースのポリアミド糸をはじめ、リサイクルポリエステル、リサイクルレース、そして染料もナチュラルなものを意識するようになった。ビスコースなど再生繊維のバリエーションも増えている。
同展出展歴が約四半世紀におよぶ日本の旭化成ROICAは、近年、ヨーロッパ市場におけるプロモ―ションに力を入れており、ファミリー(テキスタイルや製品の提携企業)も増えて、順調に業績をのばしている。
例えばセーレンFlex Moveも、“サスティナブル”への取り組みに着手し、新たにROICAのリサイクル糸、そして分解性糸を使用したグループを発表した。
かつて、素材の主役であったライクラはこの方向性とは合致しないということで、同展でもすっかり影を潜め、今やエコフレンドリーでサスティナブルな素材でなければ違和感をおぼえるほど、市場環境が変化している。
イタリアのマーケティング会社によるプロモーション効果で順調に成長を見せているROICAのブース