武田 尚子

2020 27 Mar

展示会やプレス発表は模索の時

新型コロナウイルスの感染拡大にともなって、国内インナーウエア業界も変化への対応を余儀なくされている。

2020秋冬物の展示会を中止あるいは縮小して行ったり、従来は場所と日時を指定してプレス発表していたようなことをオンラインに切り替えたりと、デジタルへの転換が急速に進みそう。消費者の商品購入についても、リアル店舗からネットへの比重が高まっていることは言うまでもない。

ここでは今週実施された二例を紹介したい。

 

ワコールでは同社としては初めて、3月24日、ユーチューブによるライブ配信を行った。

百貨店限定ブランド「パルファージュ」のプロモーションテーマ、《美しく咲くミライの私》をプレス向けに伝えるもので、フラワーアーティストの前田有紀さん(テレビ朝日アナウンサーから転身)、そして“インスタの女神”と呼ばれるタレント・モデルのわたなべ麻衣さんが、前田有紀デザインのフラワードレスを着用して登場。通常はステージの檀上で繰り広げられるトークショーを、オンラインで配信した。

前田有紀さんとは、全国の「パルファージュ」店舗のディスプレイデザインをはじめ、年間通じでコラボレーションを実施するという。

また、カドリールインターナショナルの「ランジェリーク」は、従来の展示会というスタイルから、東京本部ショールームでの内見会というかたちに変更。今週3日間にわたる完全アポイント制で、百貨店をはじめとする取引先やプレス関係者を招いた。

ショールームのコーナーでは、既に1月中旬にパリで発表された2020秋冬物の新しいコレクションをコンパクトに見せていた他、フランス・ロワールのユッセ城で撮影を行った映像も上映していた。

「ランジェリーク」の2020秋冬テーマは、“The water reflection”。ヴェルサイユの森の中にある泉にインスピレーションを受けて、5つの商品グループ(展開時期順に、夏の泉、春の泉、王の泉、秋の泉、冬の泉)におとしこんでいる。

他社についても、大型展示会の開催は見合わせる傾向が強くなっているようだ。ここしばらくは、業界にとっても模索の時期が続きそう。