武田 尚子

2017 03 Dec

ソフトスポーツ需要のブラ

百貨店のレディスインナーウエア売り場を見ている限りではあまり実感はないのだが、今、量販店チェーンストア市場やWEBなどでは、スポーツブラをはじめとするスポーツインナーの活況が続いている。

それは一過性トレンドではなく、ライフスタイルの中に定着している傾向が見え、それをリードしているのは昨今のヨガ人気だ。

ブラの機能性がより求められるところではランニング需要なのだが、それ以上にヨガなどのソフトスポーツ系の需要が伸びていることから、スポーツブラも普段使いもできるようなタイプが広がっている。

 

そんな折、「B.V.D.Ladies」(富士紡ホールディングス㈱)から、「スポーツブラ初心者でも気軽に着けられる」をコンセプトにしたという新製品、「B.V.D.Ladies Sports Bra & Shorts」が送られてきた。

「背の高い人にとって、ブラのストラップはアジャスター付きがいい」という私のコメントを企画に取り入れてくださったのだという。

 

これは日頃からつくづく思っていることで、スポーツブラの多くが、そして「スローギー」や「GOCOCi」などの接着技術を利用したソフトなシームレスブラはたいてい、肩ひもに長さを調節するアジャスト機能がないために、私のような上背がある者にとっては、ブラが上にずりあがってくるのだ。これでは快適な着用感にならないし、特に運動には向かない。決してこれは少数意見ではないのだろうか。

展示会でそういうものを拝見する度に、個人的感想を伝えてきたのだが、このように実際的に企画に取り入れ、出来上がった商品を送ってくださるというのはありがたい。まず、ネイビーブルーというシンプルなところが気に入った。

 

早速、ヨガをしにいくのに家から着用していった。

普段使いにもなるタイプなので、ジムで着替える必要もなくていいし(ボトムのショーツも普段使いできる)、バストラインもナチュラルでいいのだが、欲をいえば、ブラパッドをポケットに入れる形ではなく(パッドが取り外し自由だと中で動くし洗濯でよれたりする)、きちんとと一体型で作られているものがいいなどと、率直な感想をまた返してしまった。もちろん、それが技術的にもコスト的にも難しいことはよくわかっている。

 

スポーツとライフスタイルの融合で、どうしても連想される一つの商品モデルがユニクロのロングセラー商品「ブラトップ」。

キャミ型なので体が冷えなくていいし、ブラカップの厚みも適度だし、バストのフィットもいい。ベーシックタイプは、もちろん肩ひものアジャスター付き。これといかに差別化した優秀な商品ができるかが、このソフトスポーツ需要の領域の一つのカギを握っていると思う。

 

スポーツブラについては、こういったソフトスポーツ需要に限らず、もう一方のハード系においてもまだまだ開拓の余地があるはず。ファンデーションメーカーの強みを活かした物作りが期待されている。