武田 尚子

2019 22 Feb

ランジェリーの明日を切り拓くデザイナーたち

「パリ国際ランジェリー展」の中でも、特にデザイナーやクリエイターにとって大いなるインスピレーションを受ける場所となっているのが、素材展アンテルフィリエールのトレンドフォーラム。いわば、「プルミエール・ヴィジョン」のランジェリー版だ。

リアルな台所事情を反映してか、正直いって今回はオープン情報に精彩を欠いていたのだが、その中でも“新しい波”をおこす「チェンジメーカー」として、ランジェリーの未来を切り開く可能性のあるデザイナーの作品を展示していたエリアが設けられていたのは興味深かった。

世界から20名が選出されている中で、私が日頃からそのデザイナーとしての才能やブランドの姿勢に共感し、親しみを感じているデザイナーが2人いた。いずれも新しい感覚のブランドを集めた「EXPOSED」の出展メンバー。

 

一人は、「ランジェリーク」のクリエイティブ・ディレクター、有馬智子さん。同ブランドは、年2度のパリのランジェリー展出展も既に6回目となる。

今回の2019秋冬コレクションのテーマは、“シャネルの帽子”。前シーズンの「ドーヴィル」(映画『男と女』)に続き、フランスがテーマになっている。

帽子デザイナーからスタートしたシャネルの原点に焦点を当てたもので、アンテルフィリエールの同エリアには帽子を想わせるリボン飾りのついたバンドー型ブラジャー&ショーツが展示されていた。

 

もう一人は、ドイツブランド「OPAAK(オパーク)」のアガタ。同ブランドも近年の「EXPOSED」における常連で、いつもブースで温かく迎えてくれる。

再生レースなどを使ったこれまでの定番グループに加え、今回はダンスをコンセプトにした新グループ「フレームド・アリュール」を発表。透け感のあるストライプメッシュを使った新鮮なスタイル、ウルトラバイオレットの色づかいがモダンで目を引く。

そのグラフィックなビジュアルからは前衛的な印象を与えるかもしれないが、程よい補整機能があって快適な作りのブラジャーなどは、日本の消費者にもぴったり合うのではないかと思っている。

日本の輸入代理店も決まったようで、これから日本でも少しずつファンが増えることを私も願う。ランジェリーの未知の市場を切り拓くきっかけになるブランドといえる。