武田 尚子

2024 07 Feb

より高級化を進める「リズ・シャルメル」

フランスのランジェリーを代表するブランドの一つ、「LISE CHARMEL(リズ・シャルメル)」。リヨンを拠点とする同ブランドは、日本にもかなり古くから輸入され、しかも数十年にわたってずっと同じインポーター((株)リバコ)によって販売されている。
ボンマルシェでも目立つところに売場があり、最近の積極的な取り組みが気になっていた。
「2024パリ国際ランジェリー展示会」の会場で、同社のオリヴィエ・ピケ社長に話を聞くことができた。

―「リズ・シャルメル」には変わらない魅力がありながら、その中で多彩さが増しているように思います。

もともと、レース、エンブロイダリー、シルクという3つの素材をベースに、デザインインスピレーションに比重をかけたデザインを行ってきました。最近の傾向として、特に刺しゅう(エンブロイダリーレース)の技術向上が目覚ましく、レースとの組み合わせやプリントとの組み合わせなど、顧客のニーズにあわせて、その表現が広がりを見せています。刺しゅうは、主にスイスやイタリアのメーカーを中心に、独占デザインのオリジナルで作ってもらっています。

― 未来に向けたビジョンを。

いろいろな素材を調和させること。素材を吟味して選び、ディテールにこだわること。これが「高級品」を生み出します。全体にはシンプルだけど、ディテールは非常に凝っていて洗練されているというのが「リズ・シャルメル」の神髄。手工芸的な良さを活かして、“リッチ”と“ピュア”を融合させたものができればと思います。

― 実際の売れ行きは。

ヨーロッパ、アメリカを中心に世界50か国で販売していますが、全般に好調で、「高級化」が受け入れられています。ブティックの店頭とネット販売、そのどちらも大事で、両方の相乗効果を出していきたい。それと、未来に向けて、ランジェリーの教育(啓蒙)にも力を入れていきたいと考えています。


ピケ社長は、ランジェリーの物づくりに情熱をかける経営者であった。
フランスの伝統的なブランドの中でも、ここまで商品開発に密着した話をする経営者を他に知らない。
フランスらしい正統派エレガンスにしっかり軸足を置きながら、新しい技術と素材を駆使して、より多くの挑戦を行っていることが伝わってきた。