進士 恵理子

2019 16 Jul

もう15年


ベルリンに住むようになって早いもので15年が経つ。ここにきた時はすべての時間が自分のもので好きなときに好きなことをできたから、この街の隙間だらけな感じにぴったりあって、ぶらっとオープンエアイベントに行ったり、友人の友人が主催するWGパーティにお邪魔したり、ビデオレンタル屋の奥でやってる映画館とかにお菓子持ち込んで夜な夜な過ごしたりすることが当たり前で、そういう私たち向けのコンテンツ、つまり金はかからないしなんだか面白いコトがいっぱいベルリンにはあったし、私も十分自由だった。

今はどうかといえば、まず街が変わった。かつてのようなスクワットBarも住居も一掃され家賃の値上がりから自由人たちは住処を失った。道端で立ち話するような下町っぽさがベルリンの旧東地区にはあったけどもう誰も街がどんな風になって行くのか目を向けて近隣の人と語ることがなくなってしまった。
そして自分自身もかつてはクラブ*01のテラスで和食をケータリングしたり、ファッション、音楽、アート系イベントで通訳兼アテンド、ホステスしてて人脈もそれなりに広がったしVice Magazineに出入りしたりしていろんな経験させてもらってきたけど、美大卒業する頃には2人の小さな子供の手を引くママになって最高に幸せだけど、相当入念に準備しないとどこかへ出かけることができない人生のPhaseにあって、街の恩恵を受けられずにいる。



*01: Watergateで確か2005年ごろの夏期間限定でクールなおにぎりと唐揚げを作って提供してたんだ。店のオーナー、フタッフとかから大好評だった。