進士 恵理子
ミニマリズムのすすめ 2
ドイツ「enorm magazin」に紹介されていた365日同じ服を毎日着る試みをしているという女性の記事があって興味を引いた。1着の服をベースにカーディガンやショール、帽子、靴などのコーディネートでTPOにあった格好をしているから、(彼女は毎日自分のコーディネートをInstagram@bobbelle_byzippaにアップしているんだけど)ちっとも全く同じな感じがしない。むしろ統一されたスタイルとそこそこ値段を出して買った感じのものを丁寧に着ているという雰囲気でとても好印象が持てる。

ちょうどこんな感じ。
ここで私が思ったのは、こんな風に自分と洋服の関係を再設計する考え方、例えば自分の服に対するmindsetととも言えるスタイルを持つことは本当に大事なんじゃないかって思う。
経済産業省が出している統計によると日本人は、家のタンスに270着保管していてそのうち110着が成人女性用、90着が成人男性、70着が子供用だという。これは面白いことにドイツ人も全く似たような統計結果になっている。日本では49%の人がデザインが自分に合っているかどうかを、17%がサイズが合うか、11%が値段を重視して、毎年平均21着を購入している。そしてそれを5年以内に処分している。ドイツは1年から3年と答える人がもっと多い。ドイツの統計はGreenpeaceの資料をもとにした。
もちろん、経済は消費者に沢山買ってもらうから回っている。作る方は新しい色・形をトレンドという魔法でで購買欲をそそららせている。
ファッション・ヴィクティム(犠牲者)なのは別にトレンドを追っている人だけじゃなく、普通に生活している人みんなに当てはまるんじゃないかと思う。いくら買っても何を着たらいいかわからない症候群の人が多いという声をよく耳にする。会社や大学、飲み会でもなんでもいいんですが、毎日同じ服で行ったら笑われるんじゃないかと、だからどんどん買うんですが、買ったもの同士が調和していないからこうなっちゃうんだよね。

「着る服はいっぱいあるのに何をきたらいいのかわからない」こう思ったことが多い人は少なくない?
これからは少なくいいものを買う、それをあえてミニマリストと言わなくてもいいけど、ただ大量に消費する/させる、経済産業のありかたから、消費者の生活スタイルなんかに適切な購買システムを提案するファッションビジネスが生まれていったら、消費者・製造者・環境三方良しなんじゃないかな、なんて思う。
最近の若い子(ミレニアル世代)は、女性誌の特集「一週間のコーディネート」的な押し付けがましい企画にはあまり興味ないらしいし、そもそも押し付けがましいのが嫌いだっていうし。賢い女子ほどmindset(気づきと呼んじゃってもいいかも)が早いし。
80年代から続いてきた大量消費時代から未来へ。例えば人口減少時代・資源環境に批判的な時代だからこそ、熟成した持続可能なファッションと人の関係のリセットが出来たらいいなと思う。