アパレルウェブ メゾンニュース
「マイケル・コース」が2021春夏コレクションのランウェイをデジタル配信 心地よいラグジュリーと長く着られるスタイルを提案
「マイケル・コース(MICHAELKORS)」は2020年10月15日にデジタル配信で、2021春夏ウィメンズ、メンズコレクションのランウェイを発表した。
テーマは「スプリング・アウェイクニング」(春の目覚め)ハーリー・エリザベス・アンダーソンによるドキュメンタリーフィルムの中で、マイケルコースはコロナ禍によって人通りが少なくなったNY市で、春の訪れを感じ、公園の緑、あるいは川の景色に見入ったと語る。
そして「自然と、それを都会で再生する」というコンセプトに至ったという。舞台は、都市にある自然としてNY市ブロンクス区にあるコミュニティガーデンが選ばれた。ランウェイでは、ウィメンズ、メンズ合わせて56点を披露。マイケル・コースがロックダウン中に「アメリカンアイドル」を見て惚れこんだというシンガー、サマンサ・ディアズが抜擢されて、キャロルキングの「君の友達」を生演奏で歌った。
ゆったりとしたカシミアニットに、シャルムーズのロングスカート、足もとはフラットなサンダルというリラックスしたスタイルで幕をあけ、きわめてシンプルでミニマル、かつ長年にわたって着られるようなデザインの服が展開される。「人の手が感じられるもの」を重視したといい、カシミアニットも手編みで、ミニドレスには手編みのフリンジがついている。
エクリュから始まり、小麦色、サンド、グリーン、グラナイト、ブルー、マホガニー、チェストナットといったナチュラルなパレットが展開される。ほとんどが単色のコーディネイトで、プリントも小花模様だけだ。
パレオスタイルのスカートやサロンスタイルのスカート、バスローブドレスやパジャマパンツといった、ラウンジウエアのモチーフが次々と登場する。透け感あるリネンガーゼのシャツドレスやハンカチーフヘムドレス、カシュゴラのボクシーなチュニックなど、いかにも着心地がよさそうなピースが多い。
その一方で、かっちりしたテーラードのジャケットやスエードのダブルベルト・トレンチコートといった仕立ての美しいアイテムを組み合わせ、その対比が「マイケル・コース」らしい。またメンズライクなグレンチェックのベストやトラウザーがある一方、サイドスリットが深く入ったスカートで脚を見せるセンシャルさを添えて、マスキュリンとフェミニンを盛りこむ。
今季はさまざまなシャツドレスが登場して、カフタンドレスやチュニックにパンツの爽やかさあるコーディネイトを提案。NYではコロナ禍でハンプトンズの別荘地にひきこもる富裕層が増えたのだが、まさに別荘ライフを彷彿とさせるスタイルだ。ミニのドレスには木のビーズが縫いつけられ、ジャージーのロングドレスには革や人工鼈甲のスパンコールがちりばめられ、ラグジュリアスでありながら、同時に足もとはフラットなサンダルと、楽なスタイルだ。
アクセサリーも、手編みのレザーバックや、ストローバスケットのトートなど、丁寧な手作業で作られた自然素材のバッグが魅力的だ。
メンズもクラシックなピンストライプやグレンチェックのスーツに、長いチュニックシャツ、そしてサンダルをコーディネイトして、リラックス感を打ち出す。
ウィズ・コロナ時代に人々が求めるもの、すなわちリラックスしたスタイルと着心地のよさ、長く愛用できること、そしてそこに洗練と贅沢を添えて気持ちをあげてくれるものという気持ちをみごとに掬いとったコレクションとなった。
文:黒部エリ