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「エム エー エス ユー」2022春夏コレクション 28歳のデザイナーが70年代への憧憬を表現
「エム エー エス ユー(M A S U)」が 2021年7月31日、2022春夏コレクションを東京・天王洲アイル「Warehouse TERADA」で発表。8月13日に開催した展示会で、同ブランドの後藤愼平デザイナーに話を聞いた。
「エム エー エス ユー」の今季のコレクションタイトル“silver lining in the cloud”は、曇天の間から差し込むなめらかで強烈な太陽の光を意味する。明るいとは言い難い混沌とした世の中に、同ブランドの後藤デザイナーは「曇りがかっているようだ」と感じた一方で、太陽や青空に目隠しをする雲は、幼心で想像した夢の入り口にあった美しい情景にも似ていたという。
まだ28歳の後藤デザイナーが70年代のロックスター風のコレクションを発表したことについて「僕が12、13歳ぐらいの時って、70年代のファッションが周囲で再燃していて、僕自身もベルボトムにタンクトップを着てママチャリに乗っているみたいな、そんな少年だったんです。知識とか経験とか、着方とかも分からないけど、そういう初期衝動的に惹かれたものって自分のど真ん中に眠っていて。今回はそれにフォーカスしたコレクションになっていますね。」と語る。
スターは快活なカラーパレットと並び、今季の最大のモチーフだ。単にリプロダクトをするのではなく、過去への憧憬を現代の洋服として制作するというコンセプトから、ヴィンテージのアイテムを想起させる透け感のあるファブリックを選択。どこか懐かしさのあるシルエットと、ジャージやパジャマといったシチュエーションウェアの共存を表現したルックも見受けられた。また、ブランドの新たなアイコンとしているポップコーントップスはブルゾンとベストを用意。樹脂のコーティングを施してスポーティ要素を加えたシャツも今季を特徴づけるアイテムの一つだ。
同コレクションのショー演出は、前シーズンに続きクリエイティブレーベル、ペリメトロン(PERIMETRON)に所属する佐々木集が手がけた。
幻想的なショー演出について、後藤デザイナーは「佐々木君とコミュニケーションを取りながら一緒に進めていきました。最初は星形のランウェイを作ってその上を歩かせるということを考えていたのですが、寺田倉庫での開催が決定した時に、ストレートの気持ち良さのようなものを活かす方法についてセッションを重ねました。」とコメント。なお、音の演出は秋田県発のインディ・ロック・バンド、ウォーター(WAATER)のライブパフォーマンスによるもので、会場に深い共鳴をもたらした。