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2020 20 Oct

「グッチ」のチャイム・フォー・チェンジによるジン「CHIME」最新号で日本を特集

 

 「グッチ」によるグローバルプロジェクト、チャイム・フォー・チェンジ(CHIME FOR CHANGE)。ジェンダーの平等のために発せられた声や訴えをひとつの強い力として集結する目的で2013年に設立された同プロジェクトは、ジェンダーの平等を目指して闘う世界中の活動家やアーティストの声をより大きなものにするためジン(自主制作雑誌)の「CHIME 」を発行しているが、先日発行された最新号では、日本社会におけるフェミニズムやジェンダーおよび自己表現にスポットライトを当てた特集ページが登場した。

 この特集はエッセイやインタビュー、アートワークで構成され、東京の寿司店オーナーであり寿司職人の千津井由貴、クィアのフェミニストとして活躍するライターで日英バイリンガルのジン「B.G.U. 」を創刊した森本優芽、インターセクショナル・フェミニズムとインクルージョンの理念に基づいてパーティーイベントを企画・開催している「WAIFU」のメンバーなどが作品を寄せている。また日本特集の表紙には、1910年代の日本における女性解放運動をリードした日本初のフェミニストによる文芸誌「青鞜」の編集者たちの写真が掲載された。この号では他に、障害を持つ女性と少女たち、インターセクショナル・フェミニズム、 トランスジェンダー同士の交流、難民、女性性器切除(FGM)、児童婚といった多様なトピックとストーリーも紹介されている。

 さらにチャイム・フォー・チェンジは、新型コロナウィルス感染症のパンデミックによりジェンダーの不平等や経済的困窮が世界的に深刻化している現在において、今年5月に#StandWithWomen を始動し、有色人種、トランスジェンダー、先住民族、障害のある人を含む世界中の女性と少女たちの健康、安全、人権を支援し擁護する草の根団体と協働している非営利パートナーに活動資金を提供している。

 

 そしてこの度、同プロジェクトとケリング・ファウンデーションはブラジルの非営利団体Promundoとともに立ち上げた Global Boyhood Initiative に参加。これは4~13歳の少年たちに向けて、健全な方法で感情を分かち合い、他者を受け入れ繋がりを持ち、不平等に声を上げて立ち向かい、悪しき慣習や固定観念から脱却できる人間に育てるためのツールや資金を、その指導や教育にあたる大人たちに提供するものだ。

 その活動は、決めつけられた男らしさに異議を唱え、ジェンダーニュートラルなアプローチにより自己表現の自由をたたえるアレッサンドロ・ミケーレによる「グッチ」のコレクションとも通じ合う。

 

文:田中美貴

「グッチ」チャイム・フォー・チェンジ