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「ドルチェ&ガッバーナ」がピッティ主催でアルタ モーダのイベントを開催
「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)」は、2020年9月2、3日に伊フィレンツェ市とピッティ・イマージネ社主催による特別プロジェクトとして、ウィメンズの「アルタ モーダ コレクション(レディース 高級仕立服)」、メンズの「アルタ サルトリア コレクション(メンズ 高級仕立服)」、「アルタ ジョイエッレリア コレクション(ハイジュエリー)」を開催した。その模様はピッティ・イマージネと「ドルチェ&ガッバーナ」のオンラインプラットフォーム上で配信されている。
このプロジェクトでは、フィレンツェの歴史、芸術、時代を超越したエレガンス、そしてこの街の工房が誇る職人技へのオマージュとして、作品をファッションショー形式で発表するとともに、デザイナーたちが実際に工房に足を運んで厳選した、フィレンツェの伝統を忠実に受け継ぐノウハウと、その秀逸さを象徴する職人たちも紹介。
「アルタ モーダ コレクション」のショーは、その庭園からフィレンツェの美しい街並がパノラマで見渡せるバルディーニ宮にて開催。そのテーマが「ラ・リナシータ(再生)」であるように、フィレンツェでウイメンズプレタポルテの初めてのショーを行った1951年当時を彷彿させるような50年代風のシルエットのエレガントなルックが展開される。ドゥオモ、ポンテ・ヴェッキオ、ヴェッキオ宮などのフィレンツェのシンボル的な景色を水彩画またはデッサンのようにあしらったプリントや“花の都”フィレンツェを象徴するような花モチーフなど、この街へのオマージュ的要素も満載。ストローやラフィア、エンブロイダリー、レースなどの手の込んだ素材使い、そしてルネッサンス時代の絵画から受け継がれる装飾である金箔の技法を使ったドレスは圧巻だ。
一方、「アルタ サルトリア コレクション」のショーは、美しいフレスコ画が壁一面に描かれたヴェッキオ宮の500人広間にて開催。そんなフレスコ画がそのまま抜け出してきたようなガウンコート、ヴァザーリの回廊に展示されている肖像画のプリント、フィレンツェの象徴であるアイリスのモチーフなど、フィレンツェを象徴する要素がメンズでも各所に使われている。「ルネッサンス」をテーマにしたコレクションでは、全体的にヴェロア、モアレサテン、金糸の刺繍、ビジューなどふんだんに使用した貴族的なディナージャケットやタキシードが多くみられるが、その中には自然豊かなトスカーナのハーベストを祝うような作業着風のアイテムも登場。
そして、「アルタ ジョイエッレリアコレクション」は、世界最古の薬局、サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局に展示された。
ルネッサンス(再誕)の発祥地であるフィレンツェを舞台に、改めて伝統的な美にスポットを当てたこのプロジェクトは、パンデミックによってダメージを受けた世界の再起を願い、この機会に人間の本質を見つめ直そうという「ドルチェ&ガッバーナ」からのメッセージが込められたかのようだ。
文:田中美貴
画像:ドルチェ&ガッバーナ