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「ディオール」が2022フォールメンズコレクションをロンドンで発表
©Brett Lloyd
キム・ジョーンズによる「ディオール(Dior)」は、12月9日に2022フォールメンズコレクションを初めてロンドンで発表した。会場はウエスト・ケンジントンに位置する見本市会場のオリンピア。コレクションは、ビートニクを代表する作家ジャック・ケルアックがイメージソース。特に1957年発刊の代表作である「オン・ザ・ロード」は、コレクションに大きな影響を及ぼしている。同作は3週間で書き上げられ、執筆に集中するためという理由からテープで繋げられたタイプ原稿は36メートルにも及んだ。ランウェイはそのオリジナルの巻物状の原稿からインスパイアされている。
©Adrien Dirand
フランス西部ブルターニュ地方にルーツを持つケルアックはクリスチャン・ディオールと同世代で、ディオールはフランスのデザイナーの中でも一早くアメリカでビジネスを展開した経歴を持つ。ディオールからデザインを引き継いだイヴ・サン・ローランが、1960年にビートニクから影響を受けて生み出したオートクチュール史上初のレザージャケット「シカゴ」、セルジュ・ドゥ・ニーム(ニーム地方の綾織物)を語源に持つデニム。フランスとアメリカの関係に言及しながら、フランス的なものとアメリカ的なものの融合と対比でコレクションは進んでいく。
フェア島由来のフェアアイルニットにはスパンコールが散りばめられ、イヴ・サン・ローランとマルク・ボアンが愛したチェックツイードは、ファーコートやバリエーション豊かなジャケットを彩り、イギリス的な要素もしっかりと織り込んでいる。ジャック・ケルアックのポートレートを刺繍やジャカードで表現したトップス、死後の1972年に刊行された「Visions of Cody」の表紙イラストをあしらったハンドペイントのレザーブルゾンやプリントシャツ、1962年の「ビッグ・サー」の表紙をモチーフにした刺繍のスウェットなど、ケルアック財団とのコラボレーションによるアイテムも印象的。
フォーマルとカジュアルの間を、そして英米仏のカルチャーとカウンターカルチャーの間を縦横無尽に行き交いながら、クチュールメゾンである「ディオール」らしいエレガンスを漂わせる、ウルトラモダンなコレクションを完成させていた。
文:清水友顕
■2022フォールメンズコレクション ショー動画
■ショーを観覧したセレブリティ
眞栄田郷敦 ©Takao Iwasawa
ナオミ・キャンベル @Getty
EXOのセフン @Getty