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2021 14 Sep

「アポクリファ」が初のランウェイを開催 “弔い”をテーマにモダンでエレガントな僧衣を表現

 

 「アポクリファ(APOCRYPHA.)」が2021年9月13日、東京・豊島区の「自由学園明日館」で2022春夏コレクションをランウェイショー形式で発表した。

 デザイナーの播本鈴二は、「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」でメンズパタンナーとして経験を積み、2014年にウィメンズブランド「レイジハリモト(REIJI HARIMOTO)」を設立。その後“FANTASY 服を通して様々な文脈を、独自の世界観で紡ぎだす”をコンセプトに2020春夏コレクションから「アポクリファ」をスタートさせた。

 初のランウェイショーとなった今シーズン。ビルマの竪琴からのインスピレーションで“弔い”をテーマに選んだ。コレクションのタイトルは“THE BODHI”。サンスクリット語で菩提を意味する言葉で、その言葉が示す通り僧侶を思わせるようなアイテムが多数登場した。釈迦が身に着けていたという糞掃衣をインスピレーションに、大きな布を使い直線的なパターンを引いたという。ゆったりとした前合わせのシャツや袴のような大胆なワイドパンツも僧衣を連想させる。袈裟紐のようなディテールをベルトやアクセントとして取り入れるスタイリングも見せた。一方でセットアップはスリムでブランドらしい端正なラインを描き、エレガントな印象。パンツは裾にスリットを入れて歩くたびに表情を変えるフレアシルエットに仕上げていた。

 特徴的なアートをプリントしたシリーズは、デザイナー播本氏の友人の画家が今回のコレクションのために描き下ろしてくれたのだという。鮮やかな絵画のプリントが光沢のある生地にのせられ、より一層エレガントな印象を生み出していた。

 “THE BODHI”というテーマを選んだことに関して播本氏は、「ファッション業界において、前向きであることが当然のように求められることに違和感がある。紛争や疫病で世の中の大勢の人が苦しんでいる。前を向くためにはまず弔う気持ちが大切だということを伝えたかった」と語った。

 初めてのランウェイショーを開催することを後押ししてくれたのは「キディル(KIDILL)」のデザイナーである末安弘明だったという。ショー終了後に播本氏は、「一度ランウェイを始めると続けないといけないという想いと、やりたいという気持ちがある」と、今後への意気込みも示した。

「アポクリファ」公式サイト

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