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「グッチ」が「GUCCI COSMOGONIE」コレクションを発表
Photo by Kevin Tachman
「グッチ(GUCCI)」が、2022年5月16日(伊現地時間)、最新コレクション「GUCCI COSMOGONIE(宇宙進化論)」を発表した。会場となったのは、イタリア・プーリア州にあるカステル デル モンテ。天文学や数学に長けていた神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ2世が、八角形の黄金比率にこだわって建てた城で、中央の八角形が8つの部屋に分かれ、それを8つの八角形の塔が囲む構造になっている。北欧、イスラム世界、古典古代の多様な要素が調和し、完璧なまでに完成されたカステル デル モンテは、多様な人々、文化、文明、宗教の交差点である地中海を象徴する。
Photo by Kevin Tachman
コレクションノートでは、ユダヤ系であったためナチスに追われた哲学者、思想家のハンナ・アーレントと批評家のヴァルター・ベンヤミンに触れ、「星座」とはベンヤミンが哲学的概念に転用した用語であり、「一見して空に輝く無数の星のように細分化され巻き散らされたもの」を「共謀の集合体、つまり星座の啓示により暗黒を照らす結合体」であると示唆。「過去が現在に光を投じたり、現在が過去に光を投じたりするのではない。イメージとはむしろ、過去のものと現在のものが一瞬にして融合し、閃光と共に星座をなして現れる」というベンヤミンの言葉を引用している。
Photo by Kevin Tachman
アレッサンドロ・ミケーレはこれまでもコレクションに歴史や文化をボーダレスに取り入れてきたが、これらのキーワードから、今回のコレクションでは、そんな姿勢をさらに進めている様子が感じられる。
ショーに登場するのは、ラッフルやレースで飾られた襟、中世の装束のようなスタイルもあれば、ニュートラルカラーのウールジャケットやプリーツのミディスカートなど40年代を象徴するスタイルもある。コクーンショルダーやパフスリーブ、ベルスリーブなどで上品に仕上げられたアイテムから、刺繍やビジューが施されたブロークンスーツやデニムまで。シアリングコートからドレス、セットアップなど、様々なアイテムに使われる大胆なオプティカルパターンやストライプも印象的だ。
Photo by Alfredo Alberton
またシルクシフォンやチュールなどの透け素材のドレスや、胸の部分を細い帯で隠しただけのレザードレスなどヌーディティを強調したアイテムも多い。ニーハイブーツやグラディエーターサンダル、唇に繋がったイヤリングや何重にも巻きつけたパールのネックレスなどの目を引くアクセサリー類も、様々な時代背景を連想させてくれる。
Photo by Alfredo Alberton
そして最後はミッドナイトブルーのドレスにエンブロイダリーで星座を描いたドレスがショーを締めくくった。
文:田中美貴