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「リュウノスケオカザキ」進化するクリエーション デッドストックの生地も活用
「リュウノスケオカザキ(RYUNOSUKEOKAZAKI)」が2022年3月17日、東京都渋谷区にある建設中のビルを舞台がブランド二度目となるランウェイショーを開催した。このショーは、3月15日から開催している「渋⾕ファッションウィーク 2022春」のフィナーレを飾るためのハイライトイベントで、3月31日にオンライン配信した。
2021年9月に「Rakuten Fashion Week TOKYO」で発表したコレクション「000」では、アート作品とも捉えられる造形的なドレスで人々に驚きと感動を与えた「リュウノスケオカザキ」。現在、若手ファッションデザイナーの育成・支援を目的とした「LVMH Young Fashion Designers Prize(以下、LVMHプライズ)」のファイナリストとして選出され注目を集めている。
前回は日本古来の土器の造形や装飾、自然と対峙する人々の営みに着想をうけたシリーズと、自然界に存在する色彩やフォームを創造した立体的なドレスシリーズによって、岡﨑龍之祐デザイナーがクリエイションの根幹に据える“祈り”と“人と自然の調和”というテーマを見事に表現した。そして連番を付けた今回のコレクション「001」でもそのテーマを踏襲しつつ、素材の探求とフォルムの再考を経てさらに進化したクリエイションを見せた。
立体的ながらもシンメトリックなシルエットは、デザイナーが生まれ育った広島にあり、何度も訪れたという厳島神社の鳥居や、少年期に描いていた昆虫や葉脈にインスピレーションを得たという。素材には、ベロアや薄いカットソーなど生産が終了して倉庫に眠っていたテキスタイルを用いるなど、時代に合ったクリエイションを行っている。
また、岡崎デザイナーはビジュアルコミュニケーションを学んでいたこともあり、ブランドの造形的なアイテムは、身体を中心とした「3Dグラフィック」とも言える。身体とドレスの間にある空間さえもクリエイションの一部として捉え、歩くたびに優雅に、そしてしなやかにドレスが揺れる動きや、光の反射具合でドレスの立体性を強調するなど、ファッションとアートの境界を行き来するような表現を繰り広げた。
ショーは、建設中の巨大ビルでドレスを纏う23人のモデルが、煌々と光を放つ照明に向かって真っ直ぐに歩いていくという演出。岡崎デザイナーは「強烈な光は未来のようでもあります。建設中のビルという未完成ながら力強いエネルギーが感じられる空間で、祈り、平和、人の営みについて思考し続けながら手を動かしたドレスが現れる。そこには未来を生きることへのエネルギーが生まれると思い、この場所での発表を選びました」と語った。