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「サンローラン」荘厳な自然を舞台に2021秋冬ウィメンズコレクションを発表
「サンローラン(Saint Laurent)」が2021年4月28日、2021 秋冬ウィメンズコレクションを発表した。2021春夏コレクションでは砂漠を舞台にした壮大なムービーだったが、今回も氷河が流れる海や岩場などの荘厳な自然を舞台にし、大スケールで映像が繰り広げられた。
アンソニー・ヴァカレロは「深刻な問題と立ち向かうことによって、他のことを軽く受け止めることが出来る。境界線でバランスを見つけることは洗練された才能だ」と語り、対局の要素をミックスすることで「サンローラン」のブルジョアコードを再解釈した。
ファーストルックを始め、多くのルックで登場するメタリックまたは光沢素材によるボディや、ビジューの装飾やフェザー、金糸を使ったマクラメ刺繍のトップ、またはボディコンシャスなニット類。これらのパンチのきいたトップ達は、マイクロミニのスカートやショーツ、ひざ上のクロップトパンツなどのボトムとコーディネートされる。そしてそこには、ツイードジャケットや金ボタンのブレザー、フェザーのコートなど、クラシックかつ上品なアウターを合わせる。またはボウ付きのシャツやリボンがついたシャツ、ミニドレスやニットジレなど、ボントン的要素を持ったアイテムもある。
90年代のカルトミュージシャン、ピーチズの煌びやかでちょっとチープとラグジュアリーが共存するスタイルからのインスピレーションが盛り込まれており、その一方で、マイクロミニスカートやジャケット類など各所に使われている、ファーのヘムのディテールが60年代風の雰囲気も醸し出す。
また足元にはポインテッドトゥのピンヒールか、存在感のあるニーハイのロングブーツが合わせられ、胸元や耳には大ぶりのジュエリーで飾られている。
ムービーのタイトル「WHERE THE SILVER WIND BLOWS」が示唆するように、向かい風が吹く中を向かっていくモデル達。それは文頭のヴァカレロの言葉ともオーバーラップすると同時に、シリアスとくずしのぎりぎりの境界線を表現したコレクションにもつながる。
文:田中美貴