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「マックスマーラ」が2021プレフォールコレクションを発表
「マックスマーラ(Max Mara)」は2020年12月14日、2021プレフォールコレクションを発表した。
同コレクションのインスピレーションソースとなったのは、マン・レイ、マックス・エルンスト、マグリット、コクトー、ピカソなどの数々のアーティストに影響を与えた先駆的な芸術家であり、写真家かつジャーナリストであると同時に、モデル、そしてミューズとしての顔を持つエリザベス・“リー”・ミラー。カテゴリーを超えて多彩な才能を発揮し、様々な人生を送った彼女の、いくつかの側面がこのコレクションの要素となっている。
例えば、マン・レイの弟子であり愛人でもあった彼女が、マン・レイと共に開発した白黒写真のソラリゼーションようなのイメージが、今回のコレクションに多く登場するグレーに反映されている。多くのルックで登場するライトグレーのトーンオントーンのコーディネーションは、シワ感や光沢感の違いによって見る角度によってイメージを変えるものや、またはコーディネートするアイテム同士の素材感の違いによって個々の輪郭を強調しながら様々な表情を作る。
そして、コレクションの中心テーマである“コンバットテーラード”は、第二次世界大戦中に戦場フォトジャーナリストとして、戦場に赴いていた彼女が着ていた軍服のイメージから生まれたものだ。トレンチやワイドトラウザー、オールインワン、そして各所に見られる大きなパッチポケットのようなディテールや、ベルトポシェットや大きなサングラスなどのアクセサリーに至るまで、ミリタリー的な要素があくまで「マックスマーラ」らしくエレガントに、全体的に散りばめられている。
さらに、「モダンガール」の象徴としてエドワード・スタイケン、 ジョージ・ホイニンゲン=ヒューネがモデル時代の彼女を撮影した写真からのイメージで作られた、大きなリボン付きの袖にギャザーを寄せたオーガンザとシルクのガザールも登場。また、"リー"・ミラーが好きだったドット柄は大きさを変えて各所に多用され、フェミニンかつガーリーなテイストもプラスする。
戦中、戦後の激動の時代を、華麗に大胆に生きた"リー"・ミラー。心の赴くままに生き、毅然かつ自由に時代を渡り歩いていった彼女を主人公としたコレクションは、混とんとした現状を生きる女性たちに対するオマージュでもあるのかもしれない。
文:田中美貴