「ミカゲ シン」が2022年3月3日、東京・新宿区の「ウェスレアン・ホーリネス教団 淀橋教会」で2022秋冬コレクションをランウェイショー形式で発表した。

　今シーズンは、1980年代に世界のデザイン史に革命を起こしたデザイナー集団「メンフィス（Memphis）」にインスピレーションを得た。イタリア出身のデザインの巨匠エットレ・ソットサスによって創設されたメンフィスは、国籍・年齢・性別を問わず多様性に富んだデザイナーたちで構成され、それまで機能的でミニマルなものがよいとされていたデザインの常識を打ち破り、ド派手な色や摩訶不思議な幾何学模様を多用し、世界にポストモダン・デザインの時代を到来させた。

　そんな革命的なメンフィスのマインドや美学に敬意を表し、ファッションにおけるアート性と個性の美しさを追求して、丸、三角、四角といった大胆な幾何学形のカッティングやジオメトリック柄のミックス、オリエンタルなシャツで美を表現した。

　テーマである“Out of Box”にも、“型にはまらない、創造的な、常識を破る”といった意味が込められている。印象的なのは有松絞りを応用した有機的な形のグローブ。立体的な絞りの特徴がレイヤードのスタイリングに効果的に用いられ、コレクションに華をもたらしていた。

　また、ジェンダーレスも絶妙なバランスで表現されている。メンズのルックでも特徴的なスリットやフレア感、体に沿うボディコンシャスなトップスなど、「性別を意識せず個に似合うルックを提案した」というデザイナーの言葉通り、誰もが自由に楽しめるコレクションとなった。

　前シーズンに引き続きリサイクル素材を積極的に採用。リサイクルウール100%の滑らかなウールコートやリサイクルウール混のアクリルニットなど、無理なくSDGsを実践できるアイテムを目指した。

　ブランド立ち上げから弱冠3年ながらすでに“ブランドらしさ”の表現を確固たる信念を持って繰り広げている「ミカゲ シン」。今後の活躍が期待される。

デザイナーの進美影

■「ミカゲシン」公式サイト

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