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「ケイスケヨシダ」荻窪の空きスペースで2022秋冬ショーを開催 カナダ滞在の思い出からコレクションを製作
「ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)」が、2022年4月26日に東京・荻窪の「荻窪ビル」の空きスペースで2022秋冬コレクションを発表した。“It will be fine tomorrow”というタイトルのものと、デザイナーの吉田圭佑がカナダ・バンクーバーで見た情景をヒントにクリエーションを行った。
冒頭に登場したのは、日本において“翌日の晴れを願う”という意味合いを持つてるてる坊主をモチーフとしたルックだ。吉田デザイナーがオーロラ観賞のためカナダ・ホワイトホースに5日間滞在したのにも関わらず、あいにくの天候で最終日まで見ることはできなかった。その際ロッジの管理人が「日本の観光客から教えてもらった」と言って作ってくれたのがてるてる坊主だったという。「雲があるだけでその奥にはオーロラがあって、スローカメラで撮るとちょっとだけぼんやり見える。雲の奥にそれがあることの希望はその時の自分の気持ちに重なってるような気がした」と同デザイナーが回想するように、まさに今シーズンの象徴的なスタート地点だったといえる。
ファーストルックに続いたのは、極端なまでにオーバーサイズにデフォルメされたダウンジャケットやテーラードジャケット、反射テープ付きブルゾンの数々だ。着る人と着られる服の当たり前とされているバランスをあえて崩すことで、例えば顔が小さく見えるような新鮮さを生み出していた。グラフィティ風のプリントには“Don’t be shay(恥ずかしがらないて)”という、吉田デザイナーが語学学校の講師から実際に言われたというコメントを配した。
目を引いたのは炭酸水のペリエなどのラベルをプリントしたPVCパンツだ。「ケイスケヨシダ」は過去のショーで水の入ったコップを1000個並べるという演出をしたことがあり、その根底には “生命の比喩”が込められている。ルックはカナダ渡航のために語学留学をした際、「以前よりも炭酸水を飲むようになった」という日常的な変化を表したもので、プリント用の画像は吉田デザイナーが実際に撮影したものを使用した。
また吉田デザイナーが「僕自身、学校の机の上に登るというコレクションを先シーズンでやったあとに、色々悩んで閉塞感を持ってしまった。少しでもマインドを変えようと、今年の1月に一ヶ月間カナダに行った。環境を変えたら自分自身新鮮になれるんじゃないかなと思って」とも語ったように、今回のコレクションでは一貫したナラティブも垣間見えた。
思わぬアクシデントも今年で7年目を迎える「ケイスケヨシダ」チームの絆を深めるきっかけとなった。「下見をして会場を選んだ時にはエスカレーターが付いていたんです。それで僕、エスカレーターを使う気満々で丈の長い服をたくさん作っていたのですが、先週来た時にはエスカレーターが無くなっていて絶望しました」という吉田デザイナーだったが、スタッフと連携をしながら新鮮な広がりを持ったシーズンに仕上げた。