「ヴァレンティノ（Valentino）」は、2022秋冬オートクチュールコレクション 「ヴァレンティノ デ アトリエ」 を2021年7 月 15 日に伊ヴェネツィアにて発表する。ショーはフランスオートクチュール・プレタポルテ連合会のオンラインプラットフォームおよびその他のデジタルチャンネルにてライブストリーミングで配信。現状と安全を考慮し、ヴェネツィアには限られた人数のゲストのみ招待する予定だ。

　「ヴァレンティノ」は、新型コロナウィルスによるヨーロッパ各国の長いロックダウン後、2020年9月の2021春夏ウイメンズコレクションにおいて、ショーをこれまで行っていたパリではなくミラノで行って以来、今年の３月にも2021秋冬ウイメンズ・メンズ混合ショーをミラノのピッコロテアトロで開催している。また、デジタル発表によるオートクチュールコレクションでは、2021春夏はローマのコロンナ美術館にて、2021秋冬はローマのチネチッタで撮影を行っており、「ヴァレンティノ」はパンデミック以降、ブランドかつピエールパオロ・ピッチョーリ本人の祖国であるイタリアに寄り添ってきた。

　ピッチョーリは今回のコレクション開催について以下のようにコメントしている。

　「前例のないこの時代においてもっとも能力が試されたことは、これまで繰り返してきたことや考えを見直すことでした。そこにはもちろんオートクチュールのコンセプトや開催場所も含まれます。空想の世界でしか旅ができないこの状況において、私はより大きく、より強く夢を抱くようになりました。次のクチュールコレクションは 「ヴァレンティノ デ アトリエ」 と題し、コレクション全体をこのタイトルにふさわしいアプローチで制作に取り組んでいます。

　さまざまな心や気持ち、クリエイティブな情報を結集してシンフォニーを奏でるという挑戦をしました。これらすべてのエネルギーとともに、私のビジョンはヴェネツィアへと向かいました。ヴェネツィアはアートや演劇、音楽、建築、映画、そしてクリエイティビティに関するあらゆるもののバイブレーションが純粋に、自然に生み出される街でもあります。ですから、ヴェネツィア を発表の地として選んだのは自然な流れでした。私はファッションデザイナーでありファッションクリエイターです。作品を特定のフレームで描く必要があり、ヴェネツィアは 「ヴァレンティノ デ アトリエ」コレクションのフレームなのです」

　コロナ禍による経済危機に見舞われているイタリアでは、職人技の生きた上質な素材を提供する中小企業が特に大きなダメージを受けている。今回のコレクションはそんな生産の遅れが発生している現状において、ユニークな作品の制作に挑戦するためであるようだ。

文：田中美貴

■「ヴァレンティノ」公式サイト