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2020 04 Dec

「シャネル」がメティエダール コレクションを発表

 

 「シャネル(CHANEL)」は2020年12月3日(仏現地時間)に、2020-21メティエダール コレクションの無観客ショー(いや、正確にはブランドアンバサダーであるクリステン・ステュワートが観客として参加するという演出がなされていたが)をオンライン形式で発表した。

 メティエダールコレクションのショーにはこれまでもガブリエル シャネルと縁のあるロケーションが使われてきたが、今回の舞台はフランスのロワール渓谷の別名“貴婦人たちの城”とも呼ばれるシュノンソー城。インスピレーション源にもなったこの城には、代々の女城主たち、そしてカトリーヌ・ド・メディチによる16世紀後半のルネサンス期の要素が残る。例えば城内の装飾には、彼女のイニシャルの「C」の文字を交差した形状のモノグラムが数多く刻まれるが、これはシャネルのCCマークにも似ており、または床の大理石の黒×白の色調、ガブリエル シャネルのお気に入りのシンボルであるライオン、刺繍のタペストリー、庭園が描き出す精巧なラインなども、シャネルの世界観とリンクする。

 そんな中で発表されたコレクションには、ルネサンス期を連想させるような宮廷衣装のイメージや舞台となったシュノンソー城の構築的なモチーフに、現代風のひねりを入れてパンチをきかせた独特の世界観が広がる。

 城からのインスピレーションは各所に見られる。ランウェイとして使われたボールルームの床に施されたを白と黒の格子柄は、マイクロミニスカートやフリンジのロングスカート、コートなど各所に登場し、また格子モチーフはレースのドレスやレザーのライダースジャケットにも使われる。一方、城の全景は、ラインストーンの刺繍によってベルトの柄になり、庭園を彩る花や草のモチーフはニットのパターンやジャケットのラペルにほどこされた刺繍として各所に使われる。またタペストリーを連想させるツイードも、ジャケットやケープ、ボディスーツなど多くのアイテムに使われる。

 またカトリーヌ・ド・メディチは夫のアンリ2世の喪に付していた時に黒しか着なかったというエピソードからの連想で、ベロアのマキシコートやマクラメレースのドレスをはじめ多くのオールブラックのルックも見られる。髪から下がるようにつけられたビジュー、チュール付きの帽子、首の部分のフリルなど、宮廷衣装を連想させるアクセサリーやディテールも差し込まれている。が、原色またはペールカラーのレギンスやボディスーツ、レザーのライダースやプラットフォームサンダルなど活動的なアイテムとコーディネートされていて、かなりモダンな雰囲気だ。

 アーティスティック・ディレクターのヴィルジニー ヴィアールは今回のコレクションで、ガブリエル シャネルがインスパイアされていたであろうルネサンス期のイメージを前面に出しつつ、同時に女性が実用的に着るための服というシャネルの原点とミックスさせて昇華した。

文:田中美貴

「シャネル」2020-21メティエダール コレクション