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「クードス」が2022秋冬コレクションをブランド初のプレゼンテーション形式で発表
「クードス(Kudos)」が、2022年5月29日(日)に2022秋冬コレクション「LOST AND FOUND」を東京・渋谷の会場で発表した。ブランド初のプレゼンテーション形式で行われ、同日20:00にはブランド公式インスタグラムでライブ配信も実施した。
「クードス」はデザイナーの工藤司が2017年に立ち上げたブランドで、“賞賛”の意味を持つ「Kudos」がその名の由来となっている。工藤デザイナーは早稲田大学を卒業後、アントワープ王立芸術アカデミーに進学。中途退学後に渡仏し、「ジャックムス(JACQUEMUS)」と「ジェイダブリューアンダーソン(JW ANDERSON)」でデザインアシスタントを、「ワイ・プロジェクト(Y/PROJECT)」でパタンナーアシスタントを務めた経験を持つ。
工藤デザイナーが今回の「LOST AND FOUND」を通して行ったのは、“忘れていたもの、あの時は本質的に価値を見出せずにいたもの”との再会だったという。同コレクションにおいて不可欠だったタイムトリップ先は、2017年のブランドスタート、あるいはブランド名が掲げられる以前に彼が過ごしたロンドンやパリ、アントワープでの日々。そうした一連の作業の末に見出されたものたちは、切り込み、カットアウト、ボタンやパッチのアッサンブラージュ、テーラリングのディフォームなどのディテールへと新たに投影された。
全体的にアタッチャブルなルックが目立つ中、コレクションにアクセントを加えていたのがアクセサリー類だ。NYを拠点とするジュエリーデザイナー、奥田浩太とのコラボレーションによるヘッドピースやイヤリングは、どれも動的で快活な印象を与えていた。
また、沖縄県出身の工藤デザイナーだからこそのユニークなピースも散見された。沖縄に根付き、現在まで続く歴史を終わらない現実として顕現させたピースとして、かつて発表した“shirt for two”をオマージュした巨大なドッキングシャツやパラシュートの素材を用いたドレス、沖縄の本土復帰50年の歴史を想起させるグラフィックTシャツなど。プレゼンテーションのフィナーレには、そのドッキングシャツのネックホールを2人のモデルが共有して羽織るという演出がなされた。
「LOST AND FOUND」における制作プロセスは演出にも反映されていた。オブジェクト・デザイナーのSiin Siinが設計したパレットを積み重ねてステージを作り上げ、その上をモデルが思い思いに回遊していくその様子は、まさにいくつかのダイアローグを内包するステイトメントとして作用していた。一方、ラッパーのKID FRESINOが手掛けたバックミュージックも、「クードス」のスピリットと共鳴する思慮深さを想起させるものだった。