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「ディオール」2023クルーズコレクションのショー スペインの祝祭にオマージュを捧げて
© Angela Suarez pour Dior
「ディオール(DIOR)」が2022年6月16日スペインのセビリアで2023クルーズコレクションのショーを開催した。会場は街の中心にあるスペイン広場。
アンダルシア地方の典型的な建築様式であるムデハル様式を取り入れた建築物をバックにショーを行った。今シーズンのコレクションのアイコンである伝説の女性ダンサー、カルメン・アマヤを称えるかのように、男性と男装した女性ダンサーが一対のフラメンコダンスを舞いショーをスタートした。
発表したコレクションは、ダンスや馬術の伝統などスペインの祝祭にオマージュを捧げるもの。アンダルシアで盛んなフラメンコのドレスを思わせるルックが、コレクションの大きな柱となっている。マリア・グラツィア・キウリは、1956春夏オートクチュールコレクションの「Bal à Séville」ドレスや装飾性の高いスペイン広場など、ファッションにインスピレーションを与えるドレスコードを再考。ゴヤの絵画にも見られる明暗法や、詩人フェデリコ・ガルシーア・ロルカの言葉を通して表現した印象的な雰囲気を、クリエイティブプロセスの原点とし、魅力、オマージュ、解釈、そして回帰といった要素を融合したという。
レッド、イエロー、オークル、ブラックの光沢感のあるタフタ素材は、「ディオール」と「スペイン」を象徴するデザインのスカートに採り入れ、美しいボリューム感がコントラストを強調した。レースも多く使い、「バー」ジャケットはさまざまなゴールド糸を刺繍したブラックベルベットで登場した。マニラショールやレースヴェールのマンティラなどの布づかい、刺繍などのディテールもスペインの祝祭ムードを高めた。
また、メンズ由来のルックやアイテムも目を引く。メンズのピンストライプスーツ、サスペンダーを使ったパンツ、シルクライニングのウエストコート、ホワイトスーツ、アンダルシアの乗馬パンツ、ブランデンブルククロージャー 付きのショートジャケット、トリム付きのボレロなど。中にはジャックリーン・ケネディとともに乗馬を楽しんだスペインの資産家アルバ侯爵夫人を連想させるルックも登場。ワイドブリムハットを斜めに被り、ショートジャケットとハイウエストパンツを合わせた。
タイル装飾の欄干で名高い橋を渡り、建築物の回廊をモデルたちがウォーキングしフィナーレを迎えた同コレクションのショー。ブラックのトップスに鮮やかな柄のワイドパンツのマリア・グラツィア・キウリが現れショーを締め括った。
■「ディオール」2023クルーズコレクション