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「ドルチェ&ガッバーナ」がアルタ モーダ コレクションとアルタ サルトリア コレクションを発表
「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)」はウィメンズの「アルタ モーダ コレクション(女性用高級仕立服)」、メンズの「アルタ サルトリア コレクション(男性用高級仕立服)」、「アルタ ジョイエッレリア コレクション(ハイジュエリー)」を発表した。新型コロナウィルス感染防止のため、オンラインにて7日に「アルタジョイエッレリア」、8日に「アルタ モーダ」、9日に「アルタ サルトリア」の映像が発表された。
コレクションは”FAMILY AFFAIR”をテーマに、一家の中で共存する様々なジェネレーション、そして“ファミリー”という観念を大きく広げたダイバーシティーの要素を入れ込んだ、盛大なパーティのような雰囲気だ。そこでは年代も様々、人種や体型も様々なモデルたちが、それぞれ一点モノのピースを纏う。通常のコレクションのようにテーマに沿ってルックを構成するのではなく、年配のモデルたちにはエレガントなスタイル、若いモデルたちはスポーツ、ストリート、ドール、ロックなど自由なミックススタイル・・・という風に、各人に合うスタイルと実現するというオーダーメイドの原点を見つめなおす。
「アルタ モーダ」でマダムモデルたち(中には80代のモデルも!)が纏うのは、黒のレースやサテンのドレス、ピンストライプのパンツスーツなどエレガントなスタイル。「アルタ サルトリア」ではそれがタキシードやガウンに。一方、その孫ぐらいの年齢のモデルたちは、「アルタ モーダ」ではサテンのバルーンスカートや星をちりばめたパニエ入りミニドレスのような甘いテイストから、スカジャンを連想させる刺繍の入ったジャケットやフェザーのマキシコートに、リブの部分にシグニチャーの入ったボクシングパンツを合わせたスポーツミックスのスタイルまで。「アルタ サルトリア」では、メタリックな素材、DGモチーフをグラフィティのように描いたプリント、わざと汚したようなペイントパンツ、ハイテクスニーカーなどストリートの要素が、クラシックなジャケットやコートとコーディネートされる。ブロケード、ヴェロア、サテン、レースなどを多用した「ドルチェ&ガッバーナ」お得意のバロック風のディテールがひねりで入れられているルックも多い。
これまで「ドルチェ&ガッバーナ」は高級仕立てラインのショーを、シチリアやカプリ、そしてこの間の9月のフィレンツェのように、イタリアらしさの溢れるスペシャルな場所で行ってきたが、ミラノのラブス宮殿の各部屋を舞台に撮影されたこのショートムービーは、ミラノへのオマージュ的な意味も込められているようだ。オンライン配信の初日である12月7日は、ミラノの守護聖人アンブロジウスの記念日で、本来ならホリデーシーズンの始まりとしてミラノはお祭りムードだったはず。また7日恒例のスカラ座の新シーズン開幕日でもあったが、今回はその開幕上演も感染対策で無観客発表となった。「ドルチェ&ガッバーナ」はその公演の音楽家のために衣装提供も行っており、コレクションの中にスカラ座のパンフレットを付けたチュールドレスはそのオマージュでもあるだろう。ここには、感染第二波で再び大きな打撃を受けているミラノに寄り添いながら、ミラノらしいエレガンスを前面に押し出そうというデザイナーたちの姿勢が表れているようにも見えた。
文:田中美貴
©Monica Feudi