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「トッズ」が2021プレフォールウィメンズ & メンズ コレクションを発表
「トッズ(TOD‘S)」が2021プレフォールコレクションを発表した。今季で3シーズン目を迎えるクリエイティブ・ディレクター、ヴァルター・キアッポーニは、就任当時から「トッズ」らしいイタリア感あふれるタイムレスなライフスタイルを、彼らしいモダンなクリエーションを加えつつ再解釈してきた。だが、今回はどうやらあえてクラシックでオーセンティックな世界観を前面に押し出し、クラフツマンシップがより映えるコレクションに仕上げたようだ。
ウィメンズでは、全体的にブルジョア的なエレガンスが漂う。オーバーボリュームのテーラード風ブレザーや光沢のラッカーが施されたギンガムチェックのコート。そこから覗くのは清楚なプリーツスカートやハイウエストでスリムなラインのチューブパンツ。ギャザーを生かしたコクーンスリーブのシャツやガンクラブチェックのシャツ、フリルの付いたシャツなどにもボントンテイストが。ケープを合わせたり、さらに各所に登場するベレー帽、襟を飾るブローチや乗馬風ブーツなど小物類や、フレアスカートになったワンピースに合わせたケープなどもお嬢様感を強調する。Tタイムレスをあしらったバッグ類やローファーもオーセンティックなイメージだ。
一方、メンズではユニフォームやハンティング的な要素がちりばめられている。それを強調するのが同色、同素材によるブルゾン+シャツ+パンツのコーディネート。キルティングのフィールドジャケットやガンクラブチェックのパンツ、パッチポケットや前立て部分に使われるレザーのディテールなどにハンティングのテイストが見られる。パンツは全体的にスリムで、トップとのバランスもよくまとめられているのが、コレクションに品を与え、かつ太目傾向だった最近の流れに新鮮な一撃を加えている。足元にはウエスタンブーツのようなテイストのアンクルブーツやラバーソールのローファーなど、実用的かつ職人技のきいたアイテムをあわせている。
プレフォールコレクションが店頭に並ぶ6月頃に、果たして世界がどうなっているのかは誰も予測できない状態の中、アフターコロナに向けた華やかで弾けるコレクションを発表するブランドも、依然として“おうち時間”を意識したリラックステイストを打ち出すブランドもあるだろう。そんな中、「トッズ」はブランドのオリジンを改めて見つめなおすような、エレガンスとクオリティを重視したコレクションを打ち出した。それはそのスタイルはどんな状態でもぶれることがないという証明なのかもしれない。
文:田中美貴