繊維ニュース 編集部ブログ
2020
09
Jan
節約の美徳は何処に
【中部・北陸支社】写真はわが家の近くにあり、業者がリサイクルステーションと名付けた新聞、段ボール、衣料品の回収場だ。山のように積まれた衣料品を視ると、かつてわが国が全てのモノを大切にした「節約の美徳」の時代から「使い捨て」促進へと変わってしまったことを改めて思う。さらに問題はその処理方法を他人任せにしていることにある。自分の家の中だけを整理するために、不要となったごみはできるだけ外に持ち去る。昨日は今年初めてのごみ出し日。やはりここでも大量のごみ袋が散乱した。
筆者は貧乏農家にありがちな子だくさんの長男坊育ち。幼少のころから生ごみはもちろん、排せつ物まで畑の肥やしにする仕事を日課とされた。衣服は親戚の従兄弟から貰い受けた。学生時代は4年間、6畳4人住まいの寮(家賃月400円)で過ごし、食べ物から衣服等の生活用品、さらに本まで共有し、廃棄するものは日本酒とビールのビン、煙草の吸い殻だけだったことが懐かしい。
さて、話は変わるが繊維業界では輸出促進のためにサステイナビリテイー(持続可能性)を意識した素材や製品開発に注力している。しかし、世界最大級の調査会社ニールセンが一昨年、中国、ドイツ、英国、米国、日本を対象に行った消費に対する環境配慮の意識調査は日本が最も低いとの発表がされた。国内でも日本リサーチセンターが昨年7月、今話題のSDGsの訪問調査をしたところ、内容まで知っている人は僅か3.4%。全く知らないと答えた人は何と84・4%であった。国民自体が環境を意識した国と認められなければ効果は薄い。
今年は五輪イヤー。さらに海外からの観光客が増えるであろう。但し、いくら日本固有の”おもてなし”の精神を見せても道路に散乱した生ごみ袋や廃棄された商品があれば、うんざりだ。(聡)