繊維ニュース 編集部ブログ

2020 18 Mar

ミシンの構造を熟知したからこそ今がある

 

 【中国・四国支社】先月8日に美希刺繍工芸(福山市)の苗代次郎社長の旭日双光章受章記念祝賀会が、福山市内のホテルで開かれた。アパレル、素材メーカー、商社などの取引先や政治家、金融機関、社員、家族ら約160人が出席し、叙勲を盛大に祝った。

 同社は織物の経糸だけをカットして柄を出す「ワラカット」や裏地の色を浮かび上がらせる「パンクカットクロス」など独自技術を多数持ち、特許だけでも30数種類を保有する。その功績が認められ叙勲に至った。

 祝賀会の冒頭には苗代社長の生い立ちや日夜刺しゅうの加工技術の開発に励んできた半生を映像で紹介。最初、縫製工場に就職しアイロンかけや出荷などいろいろな仕事を経験したが、入社して2年目の時にいきなりミシンの修理を任された。知識も全く無いまま、とにかくミシンの説明書を片手に修理。その時の経験があって「ミシンの構造を熟知できたことに大きな影響を受けた。これがあったから今があるといっても過言ではない」と苗代社長は振り返る。

 何がきっかけで人生が大きく変わるか分からない。日々での出会い、出来事を改めて大切にしていきたいと、苗代社長に会うたびに思う。(佑)