繊維ニュース 編集部ブログ
2019
22
Feb
「輸出繊維会館」
【大阪本社】「輸出繊維会館」は大阪市中央区備後町に位置し、外観はシンプルモダンなイメージで、うっかり通り過ぎてしまいそうなぐらい現代建築になじんでいる。
地下1Fロビーに続く前室は、吹き抜けのように天井が高く、正面の壁面には堂本印象画伯の原画をもとに龍村織物が制作した絹製の「万邦交易」を表現したタペストリーが掲げられている。
南玄関のエントランスを入ると優雅な曲線を描く階段、「深海」をイメージしたモザイクタイルが輝き、来訪者を迎えてくれる。
外壁はイタリア産のトラバーチン(温泉、鉱泉、地下水中より生じた石灰質化学沈殿岩)の壁に、アールの付いたステンレスサッシュがリズミカルに並ぶ。村野藤吾が建物全体を船舶に見立てて設計したもので、1960年に施工された。戦後、繊維輸出が最も盛んな時代に建築され、世界中を航行する勢いが感じられる。現在も繊維貿易商社の共同施設として会員および会員の紹介で利用できる施設になっている。(博)