繊維ニュース 編集部ブログ

2018 29 Aug

茶吉庵(ちゃきちあん)

【大阪本社】旧暦7月19日、七十二候では処暑の次侯、天地始め粛(さむ)し。漸く暑さが収まり始める頃。夏の気が落ち着き、万物が改まる時期。とはいえ暑さが収まる気配は全くない。

 私の住む八尾の地域は古くから綿作り、河内木綿の産地として有名である。河内木綿は江戸時代から近隣の村々で織られ、仲買商人が買い付けて大坂、京、近江の商人たちによって全国に運ばれていた。

 ここに紹介する400年の家系を誇る茶屋吉兵衛は、河内木綿の問屋であり織元でもあった。 取引先は、大坂、摂津、京、近江、讃岐、伊勢、大和などに及ぶ。明治時代には織物工場にいち早く進出し、当時中河内地方で最大規模を誇った。

 業種転換を図った当代は、築250年の店兼居宅であった古民家を「茶吉庵」と名付けた。屋敷と蔵をリノベーションし、地域のコミュニティーづくりを目指す「古民家再生プロジェクト」を立ち上げた。今後、屋敷の維持管理とイベント企画、ギャラリー運営を行なってゆく。

 先人の築いた業を引き継ぎ、形を変えて地域貢献してゆくことになる。茶吉庵のオーナーである当家19代目萩原浩司氏はその思いを熱く語る。(博)