【大阪本社】昨年、72歳で他界した母の遺品を整理しているとノートから幾つかの新聞の切り抜きがこぼれ落ちた。数年前の全国紙の記事でどれも繊維に関連したものばかり。生前、母は私が実家によると「これ。読んでみて」と決まって新聞の切り抜きをくれた。やはり繊維の話題で、大抵の記事は専門紙で働く身からすれば、知っている内容がほとんど。「いつもありがとさん」と軽い気持ちで受け取った。昨日、見つけた切り抜きも母がいつか渡そうとノートに挟み、そのままになったものに違いない。どの記事もやはり他愛のない内容だ。しかし今は読むほどに、励ましてくれる母の温かい声がすぐそばで聞こえるようだ。

　　　　　　　　　（学）