繊維ニュース 編集部ブログ

2018 29 Nov

もうけるとは

 【中部・北陸支社】産地を訪問するとどこでも後継者問題や人手不足が話題になる。背景には周知のごとく、成長性や低賃金がネックとなっている。いわゆる、もうからないからだという。

 しかし、本当にもうからないのだろうか。中には、数が少ないものの、高収益を上げている企業もある。もうけるとは文字通り、信じ合える者と書く。構造上、分業化された繊維業界では、受注先もしくは販売先に向けて、自社の強みにリスクを張り、さらにそのリスクを顧客が便益を認めて、初めて収益が確保できる。

 具体的に賃機業では、

品質、生産性向上を目指した新たな設備投資をするか、他社にはできないより高度な織物に挑戦するといった手段がある。

減価償却の終えた古い織機で産元から設計・糸手配までしてもらい、ただ織るだけではリスクが全くない。低工賃もやむなし。よく、大手の小売りがバイイングパワーで返品やキャンセルを勝手にし、値入率も取りすぎているという話題もよく出る。ただ、その小売りも出店といった大きなリスクを抱えている。古今東西、業種を問わずリスクを避けて、もうけさせてもらえるところはない。(聡)