繊維ニュース 編集部ブログ
高梨沙羅選手、銅メダルおめでとう!
【大阪本社】平昌オリンピックも序盤から日本選手のメダル獲得が相次ぎ、盛り上がってきた。中でもうれしかったのが女子スキージャンプの髙梨沙羅選手(クラレ所属)の銅メダル。ソチオリンピック以降、髙梨選手がたった一人で戦ってきた重圧は、想像を絶するものだったと思う。それは第一人者にしか分からないものだ。ようやく、それから解放された喜びが着地直後の笑顔にあふれていた。
髙梨選手を応援したくなった理由がもう一つある。オリンピック直前まで、彼女に対するバッシングが一部で起こった。今シーズン、ワールドカップでなかなか勝てない中、彼女のメークやメルセデスベンツを愛車にしていることあげつらって「チャラチャラ化粧したり、高級車を乗り回したりしているから勝てなくなった」というもの。
こんな馬鹿げたバッシングをする人は、トップアスリートの競技外での仕事というものが分かってない。ウインタースポーツには大きな活動資金が必要なもの。そこで髙梨選手を応援しているのが資生堂やメルセデスベンツなどスポンサー企業にほかならない。だから、化粧をして表彰台に上り、ベンツで移動するのは当然だろう。スポンサーに対して仁義を通している。
そもそも髙梨選手の所属が、なぜクラレなのか。それは彼女が潤沢な活動資金を確保できずに困っていた時に、たまたま彼女の伯母さんがクラレの欧州子会社に勤務しており、会社に支援を求めたことがきっかけである。それを受けてクラレグループ全体で髙梨選手を支援することになったから。
クラレの関係者から聞いた話だが、いまやスーパースターとなった髙梨選手には、クラレよりも高額のスポンサー料で所属をオファーする企業がたくさんあるとか。しかし髙梨選手は最初に自分を支援してくれたクラレに対する仁義を通し、今もクラレ所属を続けている。髙梨選手とは、そういう人間なのだ。だから、化粧をして表彰台に上がり、ベンツに乗ってメディアに登場するのは、彼女の誠実さの表れと言える。
だから、雑音を跳ね返しての銅メダルは、本当に偉大なものだと思う。髙梨選手にはぜひ、これからも飛び続けて欲しい。そうやって女性が自由に飛び立つことは、彼女を応援しているスポンサーのみならず、多くの日本人にも勇気を与えてくれる。(宇)